わたし祈ってます
少し古い吉田司作品を読んだ。『あなたは男でしょ。強く生きなきゃ、ダメなの/吉田司評論集』(草風館、2001)。版元は、吉田をノンフィクション作家として世に出した出版社だ。『下下戦記』は白水社から出たが、その元になった記事が載ったのは、草風館の『人間雑誌』という季刊雑誌だったんだよと、ある人から教えられた。
吉田作品は『ビル・ゲイツに会った日』(講談社、1996)以来久しぶりだ。とはいえ、彼の記事は「アエラ」や東京新聞でちょろちょろ見かけていた。
話を『あなたは男でしょ-』に戻そう。この本は、90年代半ばから2001年まで、吉田があちこちのメディアに書き散らかした文章を、寄せ集めたものだ。そんな事情をさっ引いても、本の作りが少し安易で雑だった。むろん、自らの青春時代を振り返る第1章は、内容がドス黒くて、久しぶりにゾクゾクした。しかしながら、bk1の書評で大月氏が、田口ランディに対する吉田の取材が「空振った」と書いているが、まったく同感。宮崎学にもツッコミが足りない気がした。でも、やっぱり、馬力のある人だ。やくざ踊りで鍛えられただけのことはある。
なお、この本のタイトルは、1975(昭50)敏いとうとハッピー&ブルーがヒットさせた「わたし祈ってます」(作詞・作曲:五十嵐悟)の一節にあるものだが、いい曲だった。とくに、3番のサビの部分「いいわね、お願い。泣いちゃおかしいわ」のところで、ジーンときた。今度カラオケで歌ってみよう。
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