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2004年5月 5日 (水)

北京亭と「シナ」表記問題

昨晩、同居人と北京亭(千代田区西神田2-1-11)で晩飯を食べた。頼んだメニューは、焼き餃子、水餃子、肉とタケノコの炒め物、ジャージャー麺である。

ちなみに、この北京亭は、ある主張をしている。その主張は箸袋の裏に簡潔に書かれているので、以下に引用する。

舌 代

 世界中、どこの国の人も、自国に誇りを持ちたいと思っています。大国でも小国でも同じです。

 私たち中国人は、日本の人がわが国を「シナ」と呼ぶとき、耐え難い抵抗を感じます。

 中国人が祖国を「シナ」と呼んだことはありません。同じ漢字を用いる日本の人が中国を「シナ」と呼ぶとき、私たちはどうしても日本が中国を侵略し、中国人を侮っていた頃の歴史を想起してしまうのです。

 両国人民の子々孫々の友好のために、どうか「シナ」といわず、「中国」と呼んでください。正式国名は「中華人民共和国」です。

北京亭主人敬白

箸袋の表には、「庶民階級中国人民との相互友好を勧めましょう、正しく中国と東中国海、南中国海と呼びましょう」と書かれてあった。「東中国海」「南中国海」という呼び方が「正しい」かどうか、わたしにはよく分からないが、店主の心意気は、なんとなく伝わってくる。

ちなみに「シナ」という単語を平凡社世界大百科で調べてみると、「秦の始皇帝により統治されたため秦人と称され、それが今日のシナすなわち China,Chine の名称として、いまなおその名がとどめられている」とある。つまり、必ずしも蔑称というわけではない。だけど、文脈や用いられる場面によっては、侮蔑的な響きを帯びる場合がある。(たとえば「このアマ!」「チョーセン人のくせに!」……など。尼や朝鮮人という表現に差別性はない)。つまり店主は、表記そのもの以上に、「シナ」という言葉に込められた日本人の中国人に対する眼差しを問題にしているのだ。

「シナ」表記は、古くから引きずっている問題のひとつだが、北京亭が昔からこの主張を続けていることに、なんだかハっとさせられた。何にハっとさせられたのか? それは、東京都民が、「三国人発言」に懲りることなく現在も「シナ」という単語をかなり意図的に用いる文学者・石原慎太郎氏を、直接投票で選んでしまったという事実に、である。

ずいぶん寄り道をしてしまった。話を食い物に戻そう。わたしたちが食べた焼き餃子、水餃子、肉とタケノコの炒め物、ジャージャー麺を、美味しかった順にならべると、(1)焼き餃子 (2)ジャージャー麺 (3)水餃子 (4)肉とタケノコの炒め物--となった。この店の餃子は2回目だけど、スヰートポーズよりもうまかった。ただ、最近は四川料理とか、火鍋とか、インパクトの強いものばかり食べているので、クセの少ない中華料理は物足りなかったのも事実だ(許せ、北京亭店主よ)。

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コメント

私が小中学生のころ(大体1950年代前半まで)は、日本では一般的に中国を支那と呼んでいたと思う。ただ、当時の大人たちの会話の中に出てくる、「支那」には相反する二つの気持ちが伴っていたと思う。つまり、「支那鞄、支那料理、支那そば、“支那の夜”、シナチク」等と、「支那人」の間に微妙な違いを感じた。それは何故かと言うと、親たちが「支那料理」などと言う時には明らかに肯定的、好意的だが、「支那人」と言う時には、その話の前後から否定的、侮蔑的なニュアンスを感じることが多かったからだ。
そういう子ども時代の印象も有って、私は石原都知事のように今の中国をわざわざ「シナ」と呼ぶことに、違和感や不快感を覚えるし、彼の中国に対する悪意とか敵意とかを感じるが、学術用語や専門用語の「シナモクズガニ」とか「シナ・チベット語」とかには個人的に愛着がある。

投稿: 井上吉達 | 2004年11月10日 (水) 09時25分

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