世界の周縁で、さもしい印税計算
そんな話を聞くたびに、わたしの中で息を潜めていたはずの悪い虫が暴れはじめる。虫は、わたしの脳に電波を送る。電波を受けたわたしは、独りごちる。「印税はナンボや、印税はナンボや、印税はナンボや……」。ふと気が付くと、わたしは無意識のうちに計算しているのだ。
せっかくなので、わたしが無意識の中でおこなった計算を書いておきましょう。
印税の計算式は《単価×刷り部数×印税率》。単価は1冊の値段。刷り部数はあまり表に出てくることはないが、「売り上げは○○万部」などと報道される場合、それがほぼ刷り部数と考えてもいい。印税率はケースバーケース。書き下ろしの場合や、雑誌連載したものを単行本にまとめる場合、翻訳の場合、出版社が鷹揚な場合(貧乏な場合)……と千差万別。片山さんはすでにプロの作家だし、『世界の中心で、愛をさけぶ』も書き下ろしだと思うので、印税率は10%前後と考えるのが妥当。
小学館から片山さんに支払われた印税額をザックリ計算すると、1470円×251万部×10%≒3億7000万円! もちろん、ここから所得税を持っていかれるけど、六割五分ほどが手元に残るのだとして、約2億4000万円! 本以外に、コミックス版や映画化権等の収入やアレやコレやで、莫大なゼニが転がり込んでくるだろう。世界の中心でウッシッシとさけぶ片山さんを勝手に想像するのは、さもしいなあ………
小説ならわたしも出版したことがある。『スレイヴ』(ポット出版、1998)。この作品でいただいた印税額は約6万円………。片山3億7000万円、畑仲6万円。「万円」の部分は同じなんだけど……え? 一緒にすな、ってか? でも、まあ、すぐ印税計算してしまう性根というのは、やっぱりさもしい。
『世界の中心で、愛をさけぶ』■( bk1 amazon 紀伊國屋 )
追伸: 「ボカぁー、ベストセラー小説なんて読まない主義なのサ」などとホザく俗物いたら、そいつらに言いたい。ほな、『スレイヴ』を読めや!
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