映画『ティファニーで朝食を』の関西弁
はずかしながら、今ごろになってブレイク・エドワーズ監督『ティファニーで朝食を』(1961,米)を観た。オードリー・ヘプバーン主演の映画といってすぐに思いつくのは、ウィリアム・ワイラー監督『ローマの休日』(1953,米)、ビリー・ワイルダー監督『麗しのサブリナ』(1954,米)、ジョージ・キューカー監督『マイ・フェア・レディ』(1964,米)などが挙げられる。『ティファニー~』のペプバーンは、めちゃめちゃ綺麗だった。ペプバーンは1929年生まれなので、わたしのオカンよりも1歳若いのだが、同じ時代の空気を吸っていたとは到底思えないくらいペプバーンは美人なのだ(ヒトの個体差というのは大きすぎる)。
この作品、麗しのペプバーンを見るために鑑賞したわけではない。伊藤守編『メデイア文化の権力作用』(せりか書房,2002)に収められている黒田勇の論考「内なる他社〈OSAKA〉を読む」で、『ティファニー~』が言及されていたためだ。『ティファニー~』には「ユニヨシ」なる日本人が登場する。カポーティーの原作のなかではカメラの専門家として描かれているが、映画のなかでは滑稽な日本人として描かれているという。具体的にいうと、度の強いメガネをかけ、齧歯類のように歯が出ていて、短気ですぐわめくがとても単純=バカ。いくらペプバーンが好きでも、こんな日本人像を見せつけられたら、日本人は傷つくだろう。
黒田は「現在ビデオで販売されている日本語字幕版では、興味深い工夫がされ、(中略)ユニヨシのせりふの字幕には『関西弁』があてられているのだ。つまり、ユニヨシは単なる日本人ではなく、『関西弁』として特定化されている」と指摘し、東京人=日本人がバカにされていても決して傷つきにくい姑息な細工を暴き出していた。それを見てみたかったのだけど、ついレンタルDVD版を字幕なしの日本語吹き替えで観てしまったので、確認できませんでした(恥)。ただ、吹き替えの日本語は大阪弁ではありませんでしたよ>黒田さん
■伊藤守編『メデイア文化の権力作用』(せりか書房,2002) [bk1]
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コメント
はじめまして。「ユニヨシ」で検索して偶然こちらにたどり着きました。
関西人は日本人ではないってことですか?
九州人で元関西人の私としては結構悲しいのですが…
一度見てみます。
投稿: 杣独活 | 2005年6月 6日 (月) 14時38分
杣独活さん:こんにちは! どうしてまた、「ユニヨシ」なんて単語を検索されたのでしょうか? でも、映画はぜひ見てください!
投稿: 畑仲哲雄 | 2005年6月 7日 (火) 00時32分