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2004年11月18日 (木)

マスメディアは終焉を迎える?

『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』
今日(17日)は、穴があったら入りたい気持ちになった。3限目のゼミで、全員が論文リポートをしたのだが、わたしが作ったペーパーに重大な変換ミスがあった。

林香里 (2002) 『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』 新曜社

上記のように表記すべきところを、『マスメディアの終焉……』と書いてしまった。周縁終焉とでは、まったく意味が違う。なによりも著者に対して失礼である。小さなリポートとはいえ、こういうミスをしていては、院生失格だ。

じつを言うと、わたしはこの著作について、数週間前にも似たような間違いをしている。そのときは 『マスメディアの周辺……』とやってしまった。「周辺」は意味的に近く、「惜しい!」といえるが、ゼミはクイズではない。なぜこんなにも著作に限って間違うのだろう。わたしは著者に敬意を抱いていないのか? まさか! では敵意を抱いている? それもありえない。だって、著者の林香里助教授は、わたしの大切な指導教官なのだから。

わたしがしでかした2度の表記ミスを指摘したのは、林助教授ご本人だった。仏の顔も三度までという諺がある。あと1回だけ変換ミスできるような気もする。だけど、林助教授が〈仏〉である保証はどこにもない

帰宅後したこと。それは、かな漢字変換プログラムATOKに単語登録したこと。「ま」と入力するだけで、 『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』と変換するようになった。これでもう大丈夫。

ところで、新聞記者は総じて本を読まない種族だ。分からないことがあれば人に聞く。聞いて済ませたら、それでおわり。分かったような気になってしまう。でも、なんにも分かっていない。むろん、相談できる人を確保するのは大切だ。でも、読まなければ、決してわからないものもある。せめて自分たちの足元の理論的なハナシくらいは知っておくべきだ。せっかくなので、わたしがタイトルをよく間違えてしまうこの本をすべての新聞記者に推薦しておく。現場記者こそちゃんと勉強しておかないと、マスメディアは本当に終焉を迎えかねない。読むべし!(そして、林助教授もわたしを許すべし!)

■林香里 (2002) 『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』 新曜社 (bk1amazon

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コメント

私の本の表紙が載ってて恥ずかしい。本屋に行っても、これが棚に置いてあると恥ずかしく逃げ出したい気分に駆られます、、、なんて言っているのは、私がかけ出しだからだろうか。たくさん本を出している諸先生方は、自分の書いた書物を本屋で見ても、なんだ、また置いてあるわ、ぐらいに思えるんだろうか、、、
来週は自分で自分の本をレポートするハメに陥って、学生に戻った気分。

投稿: | 2004年11月20日 (土) 14時42分

林先生
たびたびコメントしていただきありがとうございます。わたしが評価するのはおこがましいことですが、とにかく多くの人に読んでもらいたい。とくにジャーナリズムの問題に心を砕いている現場の記者たちに。

(次回のゼミで、先生に発表を押しつけてしまい大変申しわけありません。すべては“システム”のなせるわざということで・・・・・)

投稿: 畑仲哲雄 | 2004年11月20日 (土) 15時39分

畑仲さま

 初めてコメントさせていただきます。

>ところで、新聞記者は総じて本を読まない種族だ。分からないこ>とがあれば人に聞く。聞いて済ませたら、それでおわり。分かっ>たような気になってしまう。

 わたしが最近読んだ本。確かに駄目だ!こりゃあ。

「ダ・ヴィンチ・コード」
「男鹿のなまはげ」(童話)
「アヴェンジ」
「枯木灘」「雪あかり」(藤沢周平)
「時雨みち」(藤沢周平)

投稿: 佐藤和文 | 2004年11月23日 (火) 10時16分

佐藤さま、コメントをありがとうございます。
きゃー、お恥ずかしい・・・。エラそうなことを書きましたが、本当のことを言えば、わたしもたいして本は読んでいません。つい清水義範さんの文庫を買ってしまう今日このごろです。『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』にしても、しっかり読んだとは言えないのです・・・・・(恥;

投稿: 畑仲哲雄 | 2004年11月23日 (火) 15時35分

 もちろん、ご指摘のことはよく分かります。わたしはこの10年、メディアとNPOの「二足のわらじ」なんですが、弊社の記者がNPOのなんたるかを理解して仕事しているとはとても思えません。電子メディアと新聞の問題についても同じことが言えます。かつての自分を見るようで内心、忸怩たるものがあります。

投稿: 佐藤和文 | 2004年11月24日 (水) 09時08分

佐藤さま、たびたびのコメントをありがとうございます。

業界全般を見わたして、「2足のワラジ」を履いた経験をもつ記者がそれほどいない状況で、佐藤さんのような先達がおられるというのは、心強い限りです。

>弊社の記者がNPOのなんたるかを理解して仕事しているとはとても思えません。

まさか、まさか。良い意味で周囲の若手は大いに触発されているのではないでしょうか。佐藤さんと一緒に働ける人たちが、私はほんとうにうらやましいと思っています。

これからも、公私ともによろしくお願いします。

投稿: 畑仲哲雄 | 2004年11月24日 (水) 17時53分

せっかく訪れたので、いろんな記事にコメントを。
 くくくっつ、おもしろいです。一度ならず二度、三度目もあってもいいと思います。著者の名前を間違えなければまあ赦されるのでは。
 思うに間違える理由はフロイト的に深層心理でレポートを嫌がっていた結果では。
 他 マスメディアの周縁、おもしろかったです。図書館で借りて読み、購入・・・あっしまった。センセイにサインしてもらうの忘れました。

投稿: JOHNY | 2004年11月30日 (火) 01時25分

JOHNYさん、コメントありがとうございました。

仰げば尊し我が師の本『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』を買って読んだアナタはもうお友だち!
フロイトの話はどこかオカルトっぽいのでよく分からないのですが、この本と出会ったからこそ、ワタシは大学院に進学したのです。何度も間違えたのは、たぶん恐れ多くてキーボードを打つ指が震えたのです(苦

投稿: 畑仲哲雄 | 2004年11月30日 (火) 21時42分

 私も林先生の『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』は少し前に購入しました。ちょっと高かったですが、読み応えがあり、買って正解でした。まだ、途中ですけど。
 あと、湯川さんのブログの紹介もありがとうございました。ご本も読ませていただきました。新刊が楽しみです。
 私も会社に復帰したので、研究はなかなか進まずですが、一緒に頑張らせてください。

投稿: 増田めい | 2005年5月 4日 (水) 19時45分

増田さん:コメントをありがとうございます。『マスメディアの周縁、ジャーナリズムの核心』は近年のジャーナリズム関係本で出色ですよね!ところで、職場復帰されて以降は、たいへんでしょう? 会をみつけてちょっとリッチな社会人会をやりますか。

投稿: 畑仲哲雄 | 2005年5月 5日 (木) 00時33分

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すこしだけお勉強のお話を 第四権力としてのマスメディア 政治権力を絶えず監視して批判し一方では、民衆の意見を反映し、代弁してそれを表現しなければならない。 ... [続きを読む]

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