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2004年12月28日 (火)

映画『アバウト・シュミット』と先輩のブログ

shmidtようやく観ました。アレクサンダー・ペイン監督『アバウト・シュミット』(2002年,米)。業界の先輩が運営するウェブログ「シュミットさんにならない法」のタイトルが、この映画からヒントを得てつけられている。気になっていたが、なかなか観る機会がなくずいぶん先延ばしになってしまった。

舞台はアメリカ中西部ネブラスカ州オハマ(←2000年現在で人口約40万人足らずの小都市です)。ジャック・ニコルソン扮する主人公ウォーレン・シュミットは保険会社を部長代理で定年まで勤め上げたあと、不安と期待を抱きながら第二の人生を踏みだす。しかしその直後に42年間連れ添った妻に先立たれる。妻を十分愛していなかったことを後悔した矢先、遺品から彼女が会社の同僚と浮気をしていたことが発覚したり、溺愛する娘がネズミ講にハマるようなダメ男と結婚し、結婚式で痛ましいスピーチをするハメになったり、わずか6歳のフォスターチャイルトあてに身の上話のトンチンカンな手紙を書いてみたり…… 典型的な仕事人間の悲哀がにじみ出た作品だった(ニコルソンとキャシー・ベイツは格好いいですね)。

業界の先輩は、シルバー世代一歩手前にいる会社人間が「シュミットさん」にならぬよう、さまざまな話題や知恵をブログに綴っておられるわけだが、映画を観て「なるほどシュミットさんにならない法はいいタイトルだなあ」と感じ入った。むろん、先輩がシュミットさんになる可能性はみじんもない。会社員をしながらNPO活動の「二足のわらじ」を履き、洒落でSchmidtというハンドルを使っている人が、シュミットさんになるはずがない。

ところでこの映画、やはりというべきか、原作があった。ルイス・ビグレー著『アバウト・シュミット』(メディアファクトリー,2003)がそれだ。映画の主人公はオマハの保険会社を定年になったウォーレン・シュミット。だが、小説では元弁護士のアルバート・シュミットが主人公で、ストーリーはずいぶん違うようである(しがないサラリーマンだった男も、元エリート弁護士も、似たような老後を送る可能性はありそうだが)

定年退社を間際にひかえた人は、ヒマがあれば映画を観るか、小説を読むかされてはいかがだろう。仕事一筋で会社のために尽くしてきたのに、ちっとも報われていないという複雑な思いを胸に定年を迎える前に。

■関連リンク
・シュミットさんにならない法 http://blog.livedoor.jp/shmidt/
・シニアネット仙台 http://www.sendai-senior.org/rev1/
・アレクサンダー・ペイン監督『アバウト・シュミット』2002年,米(amazon DVD
・ビグレー,ルイス(2003),高橋結花(訳),『アバウト・シュミット』メディアファクトリー(amazon used和書
・Begley, Louis (1996) "About Schmidt: A Novel", Alfred a Knopf(amazon used洋書

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コメント

 schmidtです。穴があったら入りたい。過分なご紹介ありがとうございます。

 映画「アバウトシュミット」はまさに退職者の「悲哀」を強調したものでした。でも、実はわたしが好きなのは1975年に公開された「ハリーとトント」の方です。ポール・マザースキー監督。この映画でアート・カーニー演じるハリーのように年をとれたらいいなと思います。なかなか大変で、恐らく無理ですが‥。

投稿: schmidt | 2004年12月28日 (火) 08時16分

schmidtさま
おすすめは『ハリーとトント』ですか。今度みてみます。
良いお年をお迎えください。あと、ご旅行はお気を付けて。土産話を聞かせてくださいね。

投稿: 畑仲哲雄 | 2004年12月28日 (火) 09時03分

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