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2005年8月28日 (日)

旧聞ながら気になる統計

whitepaperことし6月28日、総務省が公表した『情報通信白書』(2005年版)で、「インターネット利用時間は新聞閲覧時間より長い」という、新聞業界にはショッキングな調査結果が報じられた。これについて、いくつものニュースメディアやブログが取り上げ、当時はそれなりに話題にのぼった。わたしが目にしたサイトでは「なぜ新聞が読まれないのか」「若者の読者離れを食い止めなければ・・・」といったお嘆きのモードから、「古いメディアが新しいメディアに食われるのは当たり前」「時代の趨勢だ」といったものまで、ネットと新聞の二項対立の図式が目立ったような気がした。だが、疑問も残った。

『平成17年版 情報通信白書』 HTML版PDF版

『情報通信白書』は総務省のサイトで閲覧できる。問題の箇所は白書の第2章7節3項「メディア利用時間」という部分で、「若年層のインターネット利用時間は新聞閲覧時間より長い」という見出しや、棒グラフまで添えられている。このページによると、「インターネットの利用時間(パソコン、携帯電話・PHSの合計)は37分、新聞を読む時間は31分である」とある。質問項目をどのように設定しているのか分からないが、ちょっと疑問が生じた。

  • 通話時間もインターネット利用時間に含める?
  • eメールを読み書きと送受信する時間もインターネットの利用時間なの?
  • PCやケータイで新聞社のサイトを閲覧した場合は?
  • ニュースのメール配信サービスを受けてケータイやPCで記事を読むケースは?
  • 駅やコンビニで、あるいは電車の中で他人が読んでいる新聞の見出しを読んだ時間はどうよ?
  • そもそも変数の設定に問題はなかったのかい?

新聞社は自社のスター記者を積極的にテレビ番組に登場させているし、テレビ番組で新聞記事を映し出したりしている。自社のホームページやポータルサイト、さらにはケータイ・サイトでもニュース報道をしている(2ちゃんねるの一部ユーザーは新聞社のニュースサイトの熱心な愛読者のはずだぞ)。もし白書が新聞紙だけを「新聞」であるという狭義のとらえ方をして、ケータイの利用を広義に考えているのであれば、バランスに欠くだろう。

新しいネットメディアが古いメディアである紙の新聞を圧倒する――という分かりやすいメークドラマ?だけが独り歩きしいるのか。そんな疑問を抱きながら、それ以上きちんと調べていないじぶんもなさけないが、それでも、こういう問題を忘れないうちにメモしておこうと思いました。

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   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < さぁてネットで新聞でも読むか
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  \     ー   ノ
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  |     \ ○―――――)
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コメント

まあ、インターネット利用時間という概念がね。もちろん、ニュースを見ている時間はその一部に過ぎないと思われるので、あんまり僕はショッキングだとは感じない。メールもあるだろうし、ブログを見る時間もある。検索している時間も多いに違いない。逆に新聞を31分も読んでいるというのが驚異です。いまどき。ほんまかいな、という感じ。僕なんか日々、反省しているが、見出しとリードと余程気になった記事しか読まない。まあ、職業柄、1日合計すれば30分以上にはなると思うけど、それは各紙を読み比べる時間も入れての話です。だから平均31分というのが不思議。日経の売り物「冬香」(愛ルケ)を読む2分も入っているのかな。

投稿: 京野菜 | 2005年8月31日 (水) 14時43分

追加。新聞を読む31分のうち、かなりがテレビ欄とスポーツ欄だと想像する。スポーツ欄は記録が多いから時間を食う。あと職業人?が、自分の関係する業界記事を読むとか、商況欄を読むとか。商況欄も時間を食う。で、悲観的というわけではなく、冷静に見れば、一般記事はあまり読まれていないのではないか。特に外信面とか。社説とか。

投稿: 京野菜 | 2005年8月31日 (水) 14時49分

京野菜さま: コメントをありがとうございます。マーク・トゥエインはこんな言葉を残しています。「ウソというのは、大きく分けて3つの種類がある。ひとつは普通のウソ、もうひとつは真っ赤なウソ。そして、統計」。ジャーナリストには統計リテラシーが必要ということですね。

投稿: 畑仲哲雄 | 2005年8月31日 (水) 23時46分

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