紙の本、電子化したい
新居への引っ越しを目前に、本との格闘を続けてきた。指導教官から「お読みなさい」と命じられていた研究書を難渋しながら読んでいたわけではない。筋肉痛にりながらeBOOKOFFにせっせと送り続けていたのだ。10箱以上を二束三文で売った。まだまだ送れそうだけど、本を手放すというのは精神衛生上、どうもよろしくない。
わたしも同居人も活字でメシを食ってきた。近年は電子の活字とも仲良くしているが、それでも引っ越し荷物のかなりの量が紙の書籍。設計士に無理をいって2階すべてを書斎(お仕置き部屋)にしてもらったが、蔵書がすべて収まるスペースはない。因果なことだが、本が今後も増えることは間違いない。ならば、いま埃をかぶっている本を処分するしかない。でも、紙ゴミとして燃やしてしまうのは忍びない。――というわけで中古市場に循環させることにしたのである。
あらためて紙の本は偉大だと思う。eBOOKOFF行きのダンボール箱に本を詰めているとき、ふと人生の中間決算をしているような気がした。手に取ったときの質感。ページをめくるときの手触り。そんな身体の感覚が、本を読んだ時期や場所、当時の状況などを思い出させるのである。紙の本を捨てるというのは、みずからの過去を思い出す回数を減らしてしまうことかもしれない。わたしは電子書籍やウェブ上の出版物もりっぱな「書籍」であり「本」であると考えているが、手触りや質感のない電子本のファイルを[delete]キーでハードディスクから消去するときには、こんな思いを抱かないだろう。
・・・・・・などと考えたが、これは間違い。電子本のたぐいを消去する理由なんてこれっぽっちもない。電子本は部屋を占拠しないし、ハードディスクの容量ぎりぎりまで貯め込める。ファイル形式によっては正規表現による串刺し文字列検索もできるだろう。圧縮してファイルサイズを小さくすることもできるし、劣化もない。ひとたび“出版”されれば、紙の本のように絶版になってしまう危険性もない。そしてなによりも、引っ越しの時にラク! 蔵書を電子化してくれるようなサービスがあればなあ。
※上の写真を左に、下の写真を右にして横に並べると、部屋の3面が深めの本棚であることが想像できます。
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コメント
本を手放すのは、僕の場合、精神衛生上よかったので、違う受け止め方があるなあ、と。昔の家を引き払う時、もう何千冊か万か分からなくなり、整理の意欲もなくなったので、約9割を捨てた。BOOK OFFでも一部処分したが、あまりに安いので、頭にきて、単に捨てた。後から思うと、随分貴重な文献を捨てた、と思わないでもないが、それらを活用する可能性もなくなってきたので、よかった。今は本棚3つですっきりしている。でも、これだけでも、どこに何があったか探すのが大変。本は厄介だ。
投稿: 京野菜 | 2005年10月 6日 (木) 17時45分
わたしも数年前に引っ越しのために遊び系の本を残して全部処分したことがありました。自分でやるとあれこれ選択したくなるので、引越し手伝いに来た妹に「全部捨てて」と頼みました。ちょうど仕事が忙しくて引っ越し準備もできないころでした。7回の転勤のといに本と一緒に動いていた妹は「本当にいいのかなあ」と言いながらも、ばっさりと処分してくれました。 さすがに頭の中にスペースができたような感じでした。その後、1年ぐらいは単行本を買えませんでした。また捨てるかと思うと・・。本の話は長くなります。
投稿: schmidt | 2005年10月 6日 (木) 23時29分
京野菜さん、schmidtさん、コメントをありがとうございます。先輩方も本の処理ではずいぶん苦労されたようですねー。活字人間の悲しい性(さが)なのでしょうか。ふと、本が少ない書斎というのも素敵な気がしてきました。これ見よがしの“見せる本棚”って悪趣味ですしね!
投稿: 畑仲哲雄 | 2005年10月 7日 (金) 00時23分