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2005年12月10日 (土)

フリーランス・フェスティバル

「見よう!聞こう!語ろう! フリーランス・フェスティバル」というイベントに終日参加した。東京大学大学院情報学環とアジアプレス・インターナショナル 、日本ビジュアル・ジャーナリスト協会、DAYS JAPANの4者の共催で、企業組織に属さずに活動する独立系のジャーナリズムの存在意義をアピールするのが目的。さまざまな活動をするフリーの取材/表現者とメディア研究者とを結ぶ重要なイベントだったと思う。わたし自身いろんな人の活動を知ることで大いに考えさせられた。

「見よう!聞こう!語ろう! フリーランス・フェスティバル」@本郷キャンパス農学部弥生講堂一条ホール

第1部「ドキュメンタリーの原点を求めて~台頭する女性監督たち」は4監督によるディスカッション。パネリストは「三池~終わらない炭鉱(やま)の物語」を撮った熊谷博子、「ヒバクシャ」の鎌仲ひとみ、「ライファーズ」の坂上香、「ガーダ -パレスチナの詩-」の古居みずえ。たいへん著名な映像作家だが、語られた内容の半分ほどがお金にまつわる話。映画やドキュメンタリーを撮るにはたいへんなお金が必要となる。とくに海外に長期滞在しながらカメラを回すとなると、そのしんどさは想像を絶する。好きでなければできない仕事なのだ。なにが彼女らを駆り立てたのだろう、などと思った。すこし気になったのは、数分間にまとめられた各作品の紹介ビデオは、古居さんの作品を除くと、音楽が多用されていたこと。プロモーション用だからかなあ。

第2部「進化するジャーナリズム~北朝鮮・カシミールから生リポート」は、APN編集長の石丸次郎さんが、インターネット回線や携帯電話を通じて、中東やアジアのAPN特派員と会場が結ばれた。従来のマスメディアは高い機材と豊富な資金によって国際報道をしてきたが、石丸さんは「いまでは10万円とその気さえあれば、だれでも国際ジャーナリストになれると言える時代になった」と話す。デジタルビデオカメラの小型化とネットの普及により、フリージャーナリストの活動範囲は広がっていると言えるだろう。市民記者たちの活動も含めると、フリーランサーは裾野を広げつつあるのかもしれない。

第3部「時代を記録する~闇に光をあてるジャーナリストたち」は、土井敏邦(ジャーナリスト)、森住卓(フォト・ジャーナリスト)、森達也(映画監督)、吉田敏浩(ジャーナリスト)の4人がパネリストとなった。土井さんは「マスコミの記者は現場に行かずに記事を書いているため、現場で繰り広げられている出来事への怒りも覚えない。彼らは魂も痩せているし、ある意味かわいそう」などと企業内記者がいかにダメで、フリーがいかに高尚であるかを力説された。いわゆる「マスコミは悪でダメ/フリーは善で立派」という二項対立。森達也さんについては映画『A』『A2』を観ているうえ、『放送禁止歌』『スプーン』『A撮影日記』『下山事件』『世界はもっと豊かだし人はもっと優しい』を読んでいるので、新しい発見はなかった。ただ、H先生がいうように森さんの世界というのは、ルーマン的なんだなあということをあらためて実感。

第4部「いまなぜ独立系ジャーナリストか~総括討論」のパネリストは、花田達朗(東京大学大学院情報学環長)、広河隆一(DAYS JAPAN編集長)、吉岡忍(作家)、野中章弘(アジアプレス代表)の4方。前述した土井さんの「発言」を受けて、広河さんが「すべての大手メディアの記者がダメだということはない。フリーにも駄目なのがいっぱいいる」とバッサリ。大手メディアであろうとフリーランスであろうと、ほとんどの取材者は、戦場にやってきて、死体を見つければ、嬉々としてその写真を撮る--そんな馬鹿げた光景が繰り広げられているのも戦場の一コマなのだということを広河さんは淡々と語る。あと、花田先生が「フリーランスという現象」「プロフェッション/職業意識」「ジャーナリズムのイノベーション」など、さまざまな見方を提示されていたのが示唆的だった。

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コメント

 ハタさんご無沙汰しております。
私も参加したかったのですが、ちまちま修論を書くほうを選んでしまいました。提出まであと1ヶ月なもので。。。
 速攻レポートありがとうございました。会場の様子が少しでもわかって有り難かったです。また、今度ゆっくり教えてください。

投稿: 白ネコ | 2005年12月11日 (日) 14時30分

白ネコさん: こんにちは。修論は追い込みシーズンですね。おつかれさまです。一段落したら同窓会をしましょか。でも、とにかくいまは頑張ってください。いい論文を!

投稿: 畑仲哲雄 | 2005年12月11日 (日) 21時41分

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「フリーランス・フェスティバル」第2部は「進化するジャーナリズム−北朝鮮・カシミールからレポート」と題して、携帯電話などを利用して世界の紛争現場などからのフリーランス・ジャーナリストによる生中継デモンストレーションが行われた。 イラク北部クルディスタンからの中継は遅刻して見そびれた。中国国境に近い北朝鮮からは、リアルタイムの映像はうまく届かなかったものの、中国の携帯電話回線を利用してリポートが届いた。カシミール地方からは、廣瀬和司氏がネットカフェのパソコンとウェブカメラを利用し映像(さすがにかな... [続きを読む]

受信: 2005年12月14日 (水) 07時17分

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