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2006年7月10日 (月)

結局いつも砂時計

Revistaresponse1ウェブログというプログラムが世に出て久しい感じがする。この間、絶賛する人があとを絶たなかった。曰く、「素人にも更新がカンタン」「コメントとトラックバックでつながりが広がる」「日々の記録がデータベースになる」…。こうしたアプリケーションの機能面についての言及のほかに、手軽な発言機能への「期待」も大いに語られてきた。曰く「ブログ利用者ブロガーなどと呼ぶらしい)たちが、既存の伝統メディアの旧弊を切り崩す」「ブロガーたちが新しいジャーナリズムの地平を切り開く」云々…… いまのわたしは、正直なところ、半信半疑である。(←こういうことを表明した時点で「トレンドについていけない哀れな人」「変化に気づかない鈍感な人」というスティグマを押したがる人も少なくないと思うが、こういう言説も分析される必要がありそうですね)

物珍しい技術や仕掛け、商品が登場する際、その周辺にはいつも先導者や唱道者が現れる。彼ら/彼女らは必ずしもお先棒を担いでいるわけではない。善意に満ちた伝導者であったり、熱烈なファンであったりすることが(経験的に)少なくない。マッキントッシュ・コンピューターの“信者”などはその典型ではないか。では、いったいなにか彼ら/彼女らを駆り立てるのだろうか。「予期」や「期待」のインフレが生じているないだろうか。

わたしがオンラインのコミュニケーション(いまでいうところのCMCです)に触れたのは、知人(国際問題解説者)から譲り受けた東芝ダイナブック初代機 ( J3100 )に、オムロン製1200bpsのポケットモデムをつないでニフティサーブ(当時)にサインアップしたのが最初だった。当時のPCにGUIはなく、つねにコマンドによる操作をしなければならなかった。現在のブロードバンド環境からすれば、モデムのATコマンドなんて知っている必要がないかもしれないが、当時もいまも共通するものがある。それは待ち時間である。

当時はコマンドを打ち込んでレスポンスが返ってくるまで、ぼーっと画面を見つめたものだ。現在はその表現形式が変わり、ウェブブラウザのアイコン(IEの場合はeと地球マークの部分)が何度も回転するだけ。「おいおい、ブロードバンドなのに、このザマかい」と嫌味の10や20を言いたくなる日も少なくない。結局いつも砂時計なのだ。

コミュニケーションのありかたにしても、技術や仕掛け、商品が、わたしたちの作法を大きく変えたといえるだろうか。利用者の数が増えてゆけば、当初は物珍しかった技術や仕掛け、商品もすぐに陳腐化してしまう。当初抱かれていた予期や期待たちが、宙に浮き八方に四散してしまうのではないか。

近年話題のブログも例外ではないように思う。日本におけるブログやSNSの先導者・唱道者の多くは、(経験的に知っている範囲ですが)パソ通のパワーユーザーが多く、この種の人たち(むろんわたしも含みますよ)は、あたらしいものが好きで、現在あるものに不満を抱いていて、未来に対して夢見がちなのだ。

……という長い長い前振りをしましたが、このところ、ココログ(ニフティ)のレスポンスが異様に悪いのでムカついていたら、この問題を扱うブログが立ち上がっているのを知りました。ブログのレスポンスの悪さを知らせるのなら、ブログなんて使わないほうがいいのではないかな。すべての登録者にメールで説明をするとか、あるでしょ?

■関連リンク
・【特設】ココログレスポンス問題お知らせブログ http://cocolog.typepad.com/blog/

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コメント

ココログほんと頭にきます。アップにやたら時間がかかるしすぐ落ちるし知らないうちになんか変えるし有料だし。

投稿: brary | 2006年7月10日 (月) 20時47分

braryさん、こんばんわ。同感です。
他社のブログ・サービスに移行するのは、けっこう手間と時間がかかりそうなので・・・・でも、そろそろ決断かもしれないなあと思っている今日この頃です。

投稿: 畑仲哲雄 | 2006年7月13日 (木) 17時44分

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