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2006年8月15日 (火)

「メディア」の概念

最近、知り合った人たちから、「メディア」という言葉について相次いで面白い話をきかせてもらった。英語のmediaとは、mediumの複数形で、一般的にマスメディアや広告(公告)媒体などを指すことが多い。ただし、M.マクルーハンという人は、人間の身体感覚を外部的に拡張するモノを「メディア」と呼び、世の中をあっと言わせた。たとえば自動車は足を拡張したメディアだし、顕微鏡や天体望遠鏡は眼を拡張したメディアと言うことができる。言わずと知れた電子計算機=コンピューターは頭脳を拡大・強化するもっとも分かりやすいメディアだ。

で、わたしが面白いと思ったのは、犬がメディアだという議論である。近ごろの「お犬様」はは飼い主の鏡であり、飼い主の内面が凝縮して表象されていると言ってもいいだろう。もっと平たく言えば、オシャレな高級種のワンコを連れてあるく人は、ブランド品を身につけるのと同じなのだ。マクルーハンはメディアを人工物に限定したが、ワンコだってメディアだという捉え方は妙に説得力がある。

もうひとつの「メディア」は、取材・表現している記者さん自身がメディアだという話。これはマクルーハンの議論とは相容れないけど、どことなく納得させられる。ただ、有名なマスメディアに勤める記者さんだけをメディアだと呼ぶと話が広がらない。むしろ情報伝達する人たち=メディアと一般化するほうが分かりやすい。若い男女を結びつける仲人さんもメディアだし、井戸端会議に加わって盛んに情報交換する人もメディアと呼んでもよさそうだ。

そんなふうに「メディア」という概念をどんどん拡張し続ければ、非メディアを探すほうが難しくなる。でも、たまにはこういう思考実験をするのは面白い。

追伸:ちなみに、わたしのメディアである愛犬が、日曜日から某所にホームステイに行きました。1ヶ月間、寄宿舎でらし、いろんな勉強をしています。で、わが家は静かになっています。

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コメント

ご無沙汰いたしております。
以前のエントリで恐縮ですが、「メディアって?」という呟きをブログに書きなぐったことがありましたので、トラックバックさせていただきます。
>人間の身体感覚を外部的に拡張するモノを「メディア」と呼び
なるほど・・・、面白い定義ですね。

投稿: saygo | 2006年8月15日 (火) 09時46分

畑仲さんこんにちは。
私も最近代理店の方と話すと「世の中全てのものがメディアだ」との言葉を聞く事が多くなりました。本屋さんもエスカレーターの手すりも県庁の公用車も犬もメディアとして考えれば、4マスに偏りがちのメディア論も変わってくるのでしょうか。

投稿: 猫手企画 | 2006年8月15日 (火) 11時28分

 わたしはNPOの世界で「みやぎNPOプラザはメディアにならなければならない」といい続けてきました。理由は以下の通りです。

 みやぎNPOプラザは、宮城県のNPOをサポートするための公設の施設です。ブースや会議室のレンタル、各種講座や相談事業のほか、ペーパーメディア、WEB&ブログ、メルマガによる情報提供などに取り組んでいます。

 わたしが副代表理事としてかかわっているNPOが2005年4月からこの施設の指定管理者となりました。このNPOはもともとNPO・ボランティアをサポートする情報誌を発行してきたNPOです。NPOサポート事業を拡大する形で、みやぎNPOプラザの運営にかかわり始めました。
 当然のことながらプラザの運営にあたっては「情報」をキーワードとし、この施設にNPO・ボランティアにとって有用な情報を集約・蓄積し、さまざまな形でNPO・ボランティアに向かって発信するというコンセプトにしています。

 「メディア」である理由をお分かりいただけたでしょうか。この分かりにくさ、なんとかしなければならないなあ。

投稿: schmidt | 2006年8月15日 (火) 15時35分

ブランド品はメディア。犬もメディア。じゃあ犬が服着てるのは?

投稿: 仲間由紀恵@3年計画 | 2006年8月15日 (火) 21時53分

まとめレス、すんまへん。

saygoさん、たしかに面白い定義です。メディア論を語るとき、マクルーハン抜きには語れない。でも、メディア論もマクルーハンだけでは物足りないですね。。

猫手企画さん、メディア論というか、メディア観は時代とともに変遷するし、語り手によっても千差万別じゃないでしょうか。

schmidtさん、うー、難しい(^^; でも、施設(とその設備)をメディアにしようとするには、リテラシーが必要になるということでしょうか。

仲間大先輩、犬が服着てる服もメディア! 言ったモノ勝ちみたいな話ですみましぇん。

投稿: 畑仲哲雄 | 2006年8月15日 (火) 23時06分

>うー、難しい(^^; でも、施設(とその設備)をメディアにしようとするには、リテラシーが必要になるということでしょうか。

 はい、その通りです。そのリテラシーが施設における顧客対応のモラルにもなる、なんちゃって。
 

投稿: schmidt | 2006年8月17日 (木) 13時19分

「犬メディア論」興味を持って下さってありがとうございます!
これについては「モード生態学研究会会報」No3.(9月末日発行予定)にて触れるつもりですので、またご報告させていただきます。
仲畑さん、皆さんと「議論」を重ねていければ幸いです。ちなみに私の本筋は「ファッションとメディア」です。

投稿: 青木淳子 | 2006年8月20日 (日) 00時40分

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