« 言論談合 | トップページ | HAL、1歳 »

2007年3月 5日 (月)

クストリッツァと政治

Lifeisamiracleサラエボ出身の映画監督エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica)が2004年に公開した『ライフ・イズ・ミラクル』をDVDで観た。『アンダーグラウンド』(1995)が「セルビア寄りやがな」と非難され、「映画やめますわ」と言っていたクストリッツァだが、『黒猫・白猫』(1998)でさっさと復帰し、近作『ライフ・イズ・ミラクル』ではあらためて民族対立の政治問題を背景にしたストーリーを描いてみせた。

エミール・クストリッツァ『ライフ・イズ・ミラクル』(Life is a Miracle, フランス,セルビア=モンテネグロ, 2004)

ストーリーは『アンダーグラウンド』に比べるとじつにシンプル。緊迫する民族対立のなか、憎しみ合うべき関係に置かれた男女が惹かれ合うという、いわばロミオとジュリエット的構図の物語なのだが、表現は詩的かつ幻想的で、どこまでいっても人間くさい。じつはこの人、政治的なメッセージなんて、これっぽっちも発しようとしておらず、むしろ政治を憎んでいるのではないかとさえ思えてくる。

政治のために世界がどんどん悲惨な状態になっても、人は不倫をし、嘘をつき、裏切り、傷つけ、許し、傷つき、恋をし・・・という躁(そう)状態の人生賛歌に転化してしまう。たんなるロミオとジュリエットふうの悲恋として描かないところがクストリッツァの力なのだろう。バルカン半島の動乱は、物語のための舞台装置に過ぎず、べつにそんなものはなくても良いのだ。

ネットでクストリッツァのことを調べていると、面白い記事があった。なんと彼は「1993年、セルビアの極右活動のリーダーに白昼ベオグラードの真ん中での決闘を申込んだ」ことがあるそうだ。

■参考リンク AIR GENERATION FILMS http://www.iris.dti.ne.jp/~tosicarz/emir.html

■クストリッツァ監督作品
『ライフ・イズ・ミラクル』(Life is a Miracle, フランス=セルビア=モンテネグ, 2004)★★★★;
『黒猫・白猫』(Black Cat, White Cat,フランス=ドイツ=ユーゴスラビア, 1998)★★★;
『アンダーグラウンド』(Underground, フランス, 1995)★★★★★;
『ジプシーのとき』(Time of the Gypsies, ユーゴスラヴィア, 1989)★★★★;;
『パパは、出張中!』(When Father Was Away on Business, ユーゴスラヴィア, 1985)★★★★;
『アリゾナ・ドリーム』(Arizona Dream, フランス, 1992)★★★
(★は極私的評価)

|

« 言論談合 | トップページ | HAL、1歳 »

「cinema」カテゴリの記事

「politics」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19960/14153643

この記事へのトラックバック一覧です: クストリッツァと政治:

« 言論談合 | トップページ | HAL、1歳 »