ケータイ誤請求、保険業界と同じ?
わたしが端末を購入した店(大手量販店)に電話をして担当者に確認してもらったところ、ソフトバンクモバイル側の入力ミスであることが分かった。担当者はえらく申し訳なさそうに謝罪してくれたので、居丈高になって「あほんだら!目ぇ噛んで死ね、ぼけ!!!」みたいに罵ることもなく、むしろ彼ら/彼女らの置かれている立場について話を聞かせてもらった。
販売担当者との短い会話でわかったことは、ソフトバンクモバイルが短い期間のうちに料金システムが2度改訂し、料金プランの仕組みが複雑きわまりなく、現場のスタッフにも十分理解されていないことがポイントであるということだ。料金設定はあくまでも事業者側が絶対に損をしない(つまり、利用者がほいして特をしていないことを悟られない)というモデルの提示であり、現場の販売担当者にしてみれば、次々と改訂されるマニュアルを理解するのにやっとこさで、利用者が発する素朴な疑問にじゅうぶん答えられないのである。
もう一点重要なことは、わたし同様に、誤った請求をされている人は、ほかにも相当数いると考えられることだ。現場の販売担当者には、どのような請求書(明細書)が届いているのか分からない。今回のわたしのように、問い合わせの電話をかけて、担当者に調べてもらわないかぎり、誤請求が把握できないという。
わたしがラッキーだったのは、買い物するときに店員を無駄話をするクセがあり、あの時は安倍ちゃんの政権運営や統一地方選のゆくえについて、手持ちの新聞紙を広げてバカ話をしたことだ。販売担当者も“変な客”のことをよく覚えていてくれた。これが今回の処理をスムーズなものにした。(対面販売が商売の基本であることをあらためて確認した)。販売員は実に誠実でスマートな対応をした。彼は学ぶべき点の多い現場担当者であった。
だが、ソフトバンクモバイル社に対しては、なんだか気持ちがおさまらない。というのも、誤請求書を見たときに、わたしは罪悪感と恥の意識を抱かされた。じぶんのミスで招いたことかも知れないという後ろ暗く情けない気持ち。この一件からじぶんが愚かな人間であるのではないかという抑鬱感。そうした気持ちが癒えないのは、ソフトバンクモバイル社とわたしのと間にコミュニケーションの回路がないためだ。わたしとソフトバンクモバイル社は、財・サービスとマネーを交換するだけの非人格的な関係しか持ち得ていない(バザールにありがちな交渉や無駄話は発生しえない)。
誤請求された人の中には、なんでも自分のせいにしてしまう内罰的な人もいるだろうし、料金が大したことなかったために面倒くさくなって支払ってしまう人もいるだろう。病気で入院してしまった人や、超多忙な人、金にあまり頓着しない人、あたまの悪い人なども被害者になりやすい。ないよりも、金融機関の自動引き落としをしていると、知らない間にゴッソリ持って行かれてしまうケースも考えられる。
料金の仕組みやサービスの組み合わせを複雑怪奇なものにして、利用者が損をしていることを知りながら、「利用者から問い合わせがなかったから」などという理由で企業側が不当利得を得続けている。これってどこかで聞いた話だ。そう、莫大な不払いが問題となっている保険業界とソックリではないか。こういうのが業界を超えて新たなビジネスモデルとして確立しているのだろうか。だとすれば、えげつなすぎる。
いやなら契約解除しろよと言われそうだが、ケータイも保険も、どこも似たり寄ったりの金太郎飴で、選択肢はあまりない。ことにケータイは必需品となっており、ほかに乗り換えても、たいして違いはないだろう。人と人のコミュニケーションを売る商人自身が、コミュニケーション不能というのは皮肉だなあ。
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コメント
バザール出たw
投稿: 仲間由紀恵@6年計画 | 2007年4月29日 (日) 13時24分