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2007年10月10日 (水)

老けもん系

51png2mp7pl_aa240_老人を主人公にした物語はズルイと思ってきた。年寄りの回想シーンは甘く美しくデフォルメされ、病気や体の不自由さは読む者/見る者にもどかしさを強要する。何よりも死を想起させるのはインパクトが強すぎ。だから私は安易な「老けもん」が好きではない。にもかかわらず、ついつい読まされてしまうから腹立たしい。研究やら仕事やらで一年ほど“ベストセラー小説”なるものから遠ざかっていていたが、犬が登場するならと手を伸ばしてしまったのが『白い犬とワルツを』。数年前の売れ筋だそうだ。

テリー・ケイ『白い犬とワルツを』新潮文庫、1998

期待しないで読んだにもかかわらず、読後感は、だまされたー、だった。善人だらけの予定調和。夫婦愛、家族愛、隣人愛、キリスト教的な愛・・・ なぜこういうのが世界的に売れるのだろう。どれもこれも都合良すぎ。

わたしを騙さなかった老けもんを思いつくまま挙げると・・・・
【小説編】
アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』新潮文庫、1970 …少年がいじらしい
深沢七郎『楢山節考』中央公論社、1957/新潮文庫、1964 …おりん婆、壮絶
谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』新潮文庫、1968 …エロジジイ万歳
マーク・ トウェイン『人間とは何か』岩波文庫、1973 …嫌味ジジイ万歳
村田喜代子『蕨野行』文春文庫、1998 …嫁「ぬい」ができすぎ
【映画編】
デビッド・リンチ監督『ストレイト・ストーリー』米、1999 …空き缶拾い機が印象的。でもほんとにリンチ?
パトリス・ルコント監督『タンデム』仏、1987 …ロシュフォール、ダメ老人を怪演
クリント・イーストウッド監督『ミリオンダラー・ベイビー』米、2004 …老けもんじゃなくて貧乏もん?
ヘクトール・バベンコ監督『黄昏に燃えて』米、1987 …痛すぎ。トム・ウェイツgood
リンゼイ・アンダーソン監督『八月の鯨』米、1988 …甘すぎ。婆ちゃんかわいすぎ
ブルース・ベレスフォード監督『ドライビングMissデイジー』米、1989 …主役は運転手

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コメント

私はピーター・オトゥールの「チャンス」が好きなんですけど。

投稿: Ami | 2007年10月10日 (水) 22時19分

>Amiさん
 ピーター・オトゥールの「チャンス」????
 作品名がチャンス? それとも役名?
 ひょっとして、、、、『チップス先生さようなら!』ですか?

投稿: 畑仲哲雄 | 2007年10月11日 (木) 23時44分

申し訳ありません。
ピーター・セラーズ主演
シャーリー・マクレーン共演
ハル・アシュビー監督。
原題は「BEING THERE]
日本公開の題名は「チャンス」。
チャンスはご推察のとおり、役名です。

パッケージには「コミカル・ファンタジー」と記載されていますが・・・・。

投稿: Ami | 2007年10月12日 (金) 18時32分

>Amiさん
 おお、同じピーターでも、セラーズでしたか。
http://www.imdb.com/title/tt0078841/
 ↑ですね。面白そうだなあ。

投稿: 畑仲哲雄 | 2007年10月12日 (金) 20時16分

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