首相発言はパブリックじゃないの?
低い目線で人間の弱さを自嘲気味に嗤う石原壮一郎さんの芸風に、シンパシーを感じている。ニンテンドーDSを持っていないので、大人力検定は受けていないが、TBSのポッドキャスティング「小西克哉 松本ともこ ストリーム」 コラムの花道『月刊!大人気ない発言』はつとめて聞くようにしてきた。ただ、10/5(金)はちょっとなあ・・・と思った。内容が悪いのではない。記者会見で安倍首相の言葉を流さないのは、杓子定規的事なかれ力が発揮されすぎてるんじゃないのでしょうか。
この日は、女優・沢尻エリカの会見のほか、安倍(前)首相の会見の変遷が俎上にあげられた。ポッドキャストがコンテンツの二次利用にあたることから、放送目的で得られたコンテンツをポッドキャストで流さないという基本方針をTBSが作ったことは理解できる。だから、沢尻エリカ会見の類がポッドキャストで流れないのはよい。だけど、安倍(前)首相の発言は、すべての国民にとって民主的な政治参加の契機となる公的なコンテンツではないのか。
むろん、TBSラジオも取材経費をかけて取材した貴重なコンテンツであることは分かる。でも、マスメディアが首相発言という公的情報に容易にアクセスできたのは、国民を代表しているという前提があってのことだ。
マスメディアが扱うコンテンツの中で、だれもものでもなくパブリックなものがある。たとえば法律の条文のようなもの。首相の所信表明演説なども、公的な情報だろう。そうした情報がマスメディアを通じて伝えられた瞬間、条文や演説がマスメディアの知的財産となってしまったら大変だ。
安倍発言についてまでも、「ポッドキャスティングでお聞きの皆さん、著作権の関係でお聞かせすることはできません」と機械的に排除してしまうのは、ちょっとなあ。TBSラジオのポッドキャスト番組づくりにも大人力が必要ではないでしょうか。
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