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2008年1月29日 (火)

あなどれない民間療法

00430932取材道具一式と一眼レフカメラを肩から提げて、早朝から深夜まで広島の町をかけずり回っていた二十代前半のころのこと。夜、当直勤務の警察官の話し相手にも倦み、ちょっとだけ支局に顔を出して帰宅しようと車を運転していた最中、腰に変な痛みを覚えた。いわゆるギックリ腰というやつだ。痛みをこらえ、脂汗を浮かべながら車を走らせていたところ、「はり灸」の看板が目に付いた。車を止めて、姿勢をかがめたまま亀の歩みで受付にたどり着いた。

松田博公『鍼灸の挑戦―自然治癒力を生かす』(岩波新書、2005)

事の次第を話すと、即座にハリを勧められた。いまだに注射針にすら緊張してしまうわたしだが、このときはばかりは、痛みさえ治まればなんだってかまわないという気持ちだった。体を丸めるように横になり、シャツを胸元までまくりあげ、パンツを半ケツ状態までおろすと、アルコールで腰の周辺を丹念に拭かれた。背中に目がついていないので、どのくらい打たれたのかわからないが、けっこうな本数が刺さったようだ。ズーンという心地よい鈍痛と筋肉が弛緩していったことを覚えている。施術が終わり、料金を支払うときには、痛みはかなりおさまっていた。

思えば、大学院に入ってからというもの、慢性の肩こりと眼精疲労に悩まされ続け、体のあちこちが痛む-という状態が常態化している。たまに調子が良い日の朝などは、逆に不安になってしまう。肩こりや眼精疲労、腰痛は悪化するばかり。いくら研究が面白かろうと、こんなことで善き生を送れるはずがない。

子供時分を思い起こせば、じぶんで灸をすえるお年寄りが結構いた。少なからぬ人がツボの場所を心得ていて、夜泣きや疳の虫がおさまらない子供に灸を据えることも珍しくなかった。プロの鍼灸師たちも地域に根付いていて、「はり医者」といえば、目医者や歯医者なみに利用されていたように思う。つまり、庶民生活にしっかり定着していたのだ。

紹介の本の著者は、元共同通信編集委員で現在鍼灸師をしている松田博公氏が、記者時代に取材をしたルポルタージュを加筆修正したものだと思われる。松田氏自らが腫瘍切除の手術後の痛みや不調をハリで癒した経験の持ち主で、多すぎるくらいの事例が紹介されている。体の衰えを痛切に感じる今日この頃、ハリにすこし興味を覚えています。博論の前に、鍼灸の勉強しようかなあ。

ちなみに、この本では『国境なき鍼灸師をめざして―メキシコ・グアテマラを行く』(青木書店)で知られる編集者の山本慎一さんのハリ治療旅についても触れられている。かっこいい。

追記
2008年1月30日、本郷の某鍼灸院にて、脚、腰、背中、肩、首、こめかみ・・・とビシビシ打ってもらったところ、劇的に効きました。大学の先生や論文書きで肩こりさんになった方におすすめ。サプリメントを飲むより、クイックマッサージに行くより、手っ取り早く、ハリ打ってもらいましょう。もとい、ハリを打つ必要がないよう、しっかり休養取りましょう。

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