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2008年3月 1日 (土)

玉男師匠の無表情

Sonezaki_tenjin_death昨年11月、大阪の国立文楽劇場で「吉田玉男 一周忌追善狂言」が行われ、その特集番組が昨夜,NHK教育で放映された。演じられたのは「曽根崎心中」の生玉社前の段、天満屋の段、天神森の段。平野屋手代・徳兵衛は吉田玉女さん、天満屋遊女お初は勘十郎さんがつとめた。勘十郎さんのお初にもグっときたが、吉田蓑助さんの九平次の動きにほれぼれした。ほんとうに憎たらしいのである。曽根崎心中の直前に流された、玉男さんゆかりの関係者インタビューの中でも住太夫師匠が「九平次ちゅうのは悪い人間ですわ」と話していたが、蓑助さんの九平次は憎らしくも躍動的で、失礼ながら徳兵衛よりも存在感があった。

Sonezaki_tenmaya_excape素人のくせに評論家みたいなことは言えないが、テレビを見ていて、あることに気がついた。これまで劇場ではよくわからなかったけれど、テレビの文楽はやたらアップで撮られている。その結果、人形遣いの表情がよく見える。で、玉女さん自身が表情豊かな顔だちなので、どうも玉女さんの顔をばかり見てしまう。ふしぎなもので、感情的なほうに目がいく。本来は人形の動きと太夫さんの声から伝わってくるべき徳兵衛の胸中が、すべて玉女さんの顔に表れてしまう。

Tamao_sugawra_3おそらく、人形遣いはポーカーフェースであるべきなのだろう玉男さんの徳兵衛、蓑助さんのお初を見たことがあるが、二人とも表情を押し殺していた。とくに玉男さんの場合は、徳兵衛という人形が、人間の玉男さんを操っているような・・・そして玉男さんの存在そのものが視界からも意識からも消えてしまうような感覚にとらわれたことが幾度もあった。すべては玉男さんの無表情のなせるわざだったのだろう。

あらためて合唱--

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