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2008年9月 6日 (土)

自由の制約<犯罪の防止?

Shimabara_police
元公安委員長の白川勝彦さんが職務質問に遭った顛末をウェブサイトで紹介している。ひとつは2004年11月のできごとを記した忍び寄る警察国家の影、もうひとつは2006年12月22日に掲載された「またまた職務質問に!」である。いずれのケースも東京・渋谷警察署の地域課職員による圧迫的な内容。2度目のケースで白川氏が職質の理由をただしたところ、警官の1人は「これでけっこう犯罪が見つかるんですよ」と自信たっぷりに答えたという。このところ、わたしのブログが「職質」で検索されることも多い。とりわけ秋葉原事件以降、アキバをはじめ新宿、渋谷など各地で強引で悪質な職質が横行しているようだ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると言わんばかりの手当たり次第の職質は、市民的自由の侵害にほかならない。真面目な警察官もいると信じたいが、法知識のない若者やヲタク男性をいじめてストレスを発散させている不届き者もいることは、YouTubeにアップロードされた動画などから想像できる。

リベラリスト 白川勝彦の 「永田町徒然草 またまた職務質問に!」
渋谷ドキュメンタリー24時(19) ~ 逮捕から職質まで ~ on YouTube
職務質問@秋葉原中央通り 02 on YouTube
職務質問競技会(2007/09/04放送) on YouTube 

「渋谷ドキュメンタリー24時(19) ~ 逮捕から職質まで ~」が事実であるとすれば、警官はとても愚かな説教をしている。男性は職質に慣れていないらしく(まあ、慣れているほうがヘンだけど)たいへん気の毒に感じられる。

警官A 報道関係でもない方がドキュメントを作ってどうするんですか? 報道関係でもない方がドキュメントを作る必要があるんですか? ドキュメントを作ってそれをどうするんですか!(語気を強めて) 趣味?
男性 うーん、渋谷の24時を撮って……
警官A それをどうするんですか?
男性 …お金を取って流すこともないです。
警官B 趣味!? 趣味の中で、私の理解しがたいところがあるねえ。
男性 ……渋谷にはいろんな人がいて、生活があって……
警官A じぶんで楽しむ分には自由ですが、人を、第三者を撮るのはやっぱり許可がいるよね!
警官B うん。
警官A そんなに時間かけませんからッ!

最後の「そんなに時間かけませんから!」という怒声は、警官が男性を渋谷署に「任意同行」しようとしているものと思われる。権力はおそろしい。「踊る大走査線」みたいなドラマでしか警察を認識していない人にとって、唐突で強引な職質は厄災以外の何ものでもないはずだ。

そういえば、映画監督の森達也さんも自身が職質されたことを「立教ジャーナル」の香山リカ対談でで言及していた。

 つい昨日、北千住駅で職務質問されました。もちろん任意だから応じるかどうかは自由です。ところが断ってもしつこい。最後には歩く方向に立ち塞がって、交番に来いと言い出した。「それは強制か?」と聞くと「いいえ、任意です」(笑)。
香山 私たちくらいの世代だと権力にはとりあえず反抗するところはありますが、最近の若い人は素直に聴取に応じちゃいますよね。
 髪はモヒカンで二の腕にはタトゥーが入っているような若い男の子が、警察に「ちょっと持ちもの見せて」とか言われると「はい、どうぞ」ってあわてて鞄を差し出している。応じるかどうかの選択はこちらにあるとの発想がない。というか知らないんでしょうね。

森さん自身がしぶしぶ交番に連行されたのか、突っぱねたのか分からないが、「最近の若者は……」というような浅い話ではなく、市民的自由と犯罪発見のバランスの問題だとわたしは思う。すべての職質が悪いわけではない。ただ、犯罪発見を目的とした職質のためにの負担を、わたしたちがどこまで許容するか。そのことをわたしたち自身で考える必要があるということだ。だがしかし、そのような議論よりも先に「けっこう犯罪が見つかるんです」という職質者がいるのも事実。ならば、どれほどの負担に耐える必要があるのかを多くの人に考えてもらうため、実態を人々にさらす必要がある。そういう意味で YouTube 動画は考える貴重な素材になると思う。(わたしの勝手な想像やけど、警官にビシビシ職質させるより、いたるところに監視カメラをつけるほうがマシと思う人が多いんとちゃうやろか。勘違い警官を相手にする必要もないし、時間も省けるしな)

職質をされる側の論理ばかりを強調すると偏向していると言われかねないので、公平を期して「職務質問競技会」動画も紹介しておきたい。ただし、こうした競技会で職質を受ける者の側に犯罪者ではない人も混ぜておくべきで、善良な市民の自由を侵害しなかったかということも点数評価の対象にするべきだ。元になった映像はソースが明示されていないのでよくわからないが、警察関係者の広報用ビデオと思われる。よもや、これが普通のニュースとして…… いや、そんなことは考えたくない。

追記

その後、いくつかのブログをめぐり、以下の記事を発見した
警察官がオタク狩り?!/大住 on 探偵ファイル~スパイ日記
警官が囲み「かばんの中見せて」 職質乱用に批判 2007年12月16日(日)「しんぶん赤旗」

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