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2008年11月25日 (火)

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 の源流

Therewillbebloodこの作品をめぐっていろんな深読みがなされており、その一方で、やはり映画そのものについて語るべしという真っ当な意見もある。映画の原作となったシンクレア『石油!』を読んでいないくせに深読みをするのは滑稽だが、あえて妄想してみたい。わたしの感想は、この作品の底流に大恐慌時代のアメリカで盛り上がった社会主義的な思想が脈打っているのではないかということ(そして、主人公を演じたダニエル・デイ=ルイスが植木等に似ていたということ)。ことし観たなかで最高の映画だと思う。

ポール・トーマス・アンダーソン監督 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 (原題: There Will Be Blood, 2007、米)

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2008年11月22日 (土)

社会学の「まなざし」

24458_2見田宗介さんの『まなざしの地獄』が、こんなにもすごいとは思わなかった。人と社会と時代を見る眼。そして何よりも(誤解を招くかも知れないが)想像力に圧倒された。巻末の大澤真幸さんによる解説にもしびれた。「まなざしの地獄」は故永山則夫氏をめぐって書かれた1973年の論考で、大澤さんの解説は見田論文を受けて2008年の秋葉原事件との関連について分析している。社会学者の「まなざし」にしびれたよ。

見田宗介 (2008) 『まなざしの地獄 - 尽きなく生きることの社会学』 河出書房新社

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2008年11月17日 (月)

田母神論文公表の効用

あくまでも思考実験。もしも国民にも近隣国にも善をもたらさないと思われる国家があったと仮定して、そんな政府で働く軍人が政府見解と矛盾する言説を発表したとする。そのときの軍人の処遇はいかにあるべきか。その国家が建前としてリベラル・デモクラシー体制を堅持しているのなら、軍人の言説を抑圧すべきではないのではないか。よしんば、政府見解とは異なった意見を発表することでパブリックにダメージを与えることが明白だとしても、事前に抑制・禁止するのはよくないような気がする。田母神論文問題の内容が逆の内容であったとしても納得できる方策を探るのがリベラルな途だろう。「あの論文はイデオロギー云々のレベルに達していない幼稚なもの」という見方もあるが、それが当人にとって切実な「思想」であれば、たんに「知性に乏しい」という斬り捨ては傲慢である。こんなことを記したのは、18世紀フランスの思想家ヴォルテールの金言(本人の書き物のなかからは見つからなかったようだが)を思い出したから。

"I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it”.
あなたの意見は受け入れがたいが、あなたがそれを主張する権利は命をかけても守る

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2008年11月12日 (水)

『ジャッカス』の再帰的な笑われ力

Jackassおバカ系映画はそれほど観ないほうだが、ひっさしぶりに笑わせてもらった。ケガで流血なんざ当たり前。普段わたしたちが押し隠しているものたちが画面いっぱいに登場するという、お下劣きわまりない超スタントのドキュメンタリー。見方によれば醜悪の極北。しかし、ガキ時分の興奮がわき出てきて、なんだか懐かしいような気にもなる。役者たち自身が笑われることを楽しんでいる。バカなことをして自らを笑い、他者に笑われて、そんなじぶんを再帰的に笑えるヤツらはえらい。

ジェフ・トレメイン監督 『ジャッカス:ナンバー2 限界越えノーカット版』 (原題: jackass number two the movie, 2006, 米)

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2008年11月 9日 (日)

極私的三大ニュース(備忘録)

11月1日に生まれて初めての学会発表。11月6日には2回目の博士課程コロキウム。翌日に、遅れに遅れていた本のゲラ(再校)を戻した。この3つは、ことしの極私的3大ニュース。それがこの時期にすべて集中するなんて、なんたる不運。でも、これでなんとか一段落。社会人院生ライフを来年につなげられるような気がする。30代のころなら、一段落したとたん、旅行とかカラオケとか、我を忘れるようなことをしていたに違いない。だが、いまのわたしに残されたものといえば、腰痛、頭痛、肩凝り、眼精疲労、首の痛み、目のかすみ……。正直、つらいです。

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2008年11月 1日 (土)

学会デビュー

日本マス・コミュニケーション学会2008年秋季大会の個人研究発表に参加しました。過去に国際学会を含めていくつかの学会取材した経験はありますが、じぶんが壇上に立つなんて想像だにしませんでした。振り返れば、わたしは大学院入試の面接で「大学院に入学する目的は?」と訊ねられ、「いわゆる生涯学習ですね」と答えしたし、修論なんて書く気なんてさらさらなく、「面白そうな授業やゼミに出るだけで(大学院と)おさらばします」とヌケヌケと指導教官に話した不良学生でした。あれよあれよという間にここまで来られたのは、すべて指導教官や諸先輩のお導きと、こころよく調査に協力してくださった神奈川、鹿児島、滋賀の皆さまのおかげ。あらためて感謝の気持ちを表します。

コミュニタリアニズム思想が提起するジャーナリズムの可能性@2008 年度秋季研究発表会/11月1日

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