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2009年1月19日 (月)

レツゴー [政治哲学] 三匹(備忘録)

Letsgosanbikiわたしが子供のころから大好きな漫才トリオ・レツゴー三匹さんになぞらえて、リベラル論争を整理しておく。漫才台本のような形式ではあるが。それはわたしの頭の中を整理するための形式にすぎない。70年代から90年代にかけてのロールズ、ノージック、サンデルの論争を知らない人や、そういうことに興味を持たない人にはまったく意味がないので無視してください。あくまでも個人的な備忘録です。ごめんなさい。

ノージック ロバートで~~す!
サンデル マイケルで~~す!
ロールズ みなみは……フランク・シナトラでございます。
(ノージックとサンデルの両方から頬をドツかれ、ロールズのメガネがズレる)
ロールズ キミら2人、ぼくの正義論にケチつけてくれてるみたいやけど、どういうことや?

ノージック はっきり言わせてもらうけど、あんたのリベラリズムはあかん。もっと徹底して個人の権利を守れっちゅうねん!
ロールズ ほな、キミの考え、聞かせてみ?
ノージック まず①個人の権利の絶対的尊重! とりわけ所有権が大切や。それと②警察と防衛の最小国家でいこ、っちうこと。最後に③資本主義的な競争市場の合理性を信頼しようやないか。この3点をぼくは言いたいね。
ロールズ なんやそれ。弱肉強食みたいな世界やんか。いっぺん、無知のヴェール被せて、奥歯ガタバタいわしたろか? じぶんが何者か分からんようなとき、どういう社会がええか、よぉ分かるちゅうもんやで。
ノージック そのヴェール、ここへ持ってこいや。無理やろ? あんたの妄想やないか。
ロールズ うっ。それを言うたら元も子も…… でも、ゲーム理論のマキシミン・ル-ルというがあるやろ。負けたときのダメージが少ないルールを選ぶのが一般的な人間心理とちゃうやろか。
ノージック 何でもかんでもマキシミン・ル-ルが通じると思うたら大間違いや。危険なゲームをしたい人もいるし、いつも一発逆転を考えてる人もいたはります。本命馬券しか買わへん小市民的なあなたとは違うんです。
ロールズ どこかの元首相みたいなセリフ言いなさんな。
ノージック だいたい、あんたは国家を信頼しすぎや! 拡大国家から福祉国家へ。なんか危険な臭いがぷんぷんしてまっせ。
ロールズ ちょっと待ち。ぼくは社会主義と違う。コーポラティズムとか福祉主義でもない。あくまでも平等志向のリベラル。ベースは個人主義やで。
ノージック あんたの平等ははき違えをしてる。
ロールズ まてよ。ぼくは正義の二原理のなかで格差は認めてますよ。けどね、割を食ってる人らに最大限の埋め合わせをしようやないか、という格差原理は必要やと思うてるのや。
ノージック ほーら、再分配や。
ロールズ キミこそ、不平等な社会を求めてる気がするなあ。
ノージック あほか。財の獲得と移転は不可侵の権利やっちゅうねん。その権利をみんなが平等にもってることが重要やねん。それがぼくの権原理論。生まれつきの自然的な才能も不可侵や。あんたがそこまで再分配したいちゅうのなら、両目がない人のところに行って、自分の片方の目玉をくりぬいて与えてみい、いうねん。お互い目玉一つで平等になるけど、あんた、できるか?
ロールズ 無茶いいなさんな。キミらリバタリアンは極端すぎ!
サンデル ちょ、ちょ、ちょっと待ったー!
ロールズ なんや、さっきまで黙ってニタニタしてたくせに。
サンデル 見ちゃおれんがな。頼りないリーダーやなあ。自由至上主義者ごときに好き放題言わせてエエかいな。
ロールズ ほな、キミに援軍おねがいできるの?
サンデル いやいや。二人まとめて論殺したる。
ロールズ・ノージック やんやて!
サンデル あんたら、人間と社会に対する見方が貧しすぎ! 抽象的すぎやねん。ぼくは、①抽象的な個人という考えはやめて、人間の被拘束性を主張します。それと②権利や人権を持ち出す前に、それぞれの固有の伝統や文化を擁護します。あとひとつ、③人間が共同体を志向するということを強調します。
ロールズ なんや難しいこと言うてはるけど、キミにもいっぺん無知のヴェールを被ってもらいたいなあ。
サンデル しつこいわ!
ロールズ ひっ!
サンデル ぼくらの世の中で、正義の二原理が選ばれるには、コミュニタリアン的なものを取り入れないとアカンのや。リーダーが個人主義にこだわりすぎてるさかい、リバタリにボコられるねん。
ロールズ あの、つまり、それは、個人より共同体という考え方やの?
サンデル そんな単純な二項対立とちゃうわ、どあほ。アリストテレスも人間はポリス的と言うたはったやろ。
ノージック おお、ゾーン・ポリティコンやつか?
サンデル 黙っとれ、ぼけ!
ノージック ひっ!
サンデル だいたい無知のヴェールみたいなものを持ち出して、概念操作をするときの個人を、ぼくは負荷なき自我やと言うて馬鹿にしたい。そんなことを考えてるさかい議論がグダグダになるねん。よぉ考えてみ、人間ちうんは、自己解釈的な存在やで。あんたが言うてる無知のヴェールちうのも、西洋合理主義的な伝統的志向のなかででっち上げたものや。そんなもんが普遍性をもつと言えるわけないやろが!
ロールズ う。せやからボクは後になってから『政治的リベラリズム』のなかで自説をどんどん曲げていって、リバタリアニズムからもコミュニタリアニズムからもエエところを取り入れて、丸くなっていくのや。
サンデル そんな先の話はどうでもええわ。人間は、家族や地域とかいろんな共同体のなかで、思いっ切り負荷がある自我やと考えたら、正義原理って、けっこう受け入れられるやんか。自分にとって善きことと、共同体にとっても善きこととが、等号でつながることは、意外なくらいたくさんあるやろ。
ロールズ けど、キミの考えはリベラルとは言われへんような気ぃがするんやけど。
サンデル あほか。ぼくは古いタイプのコミュニタリアン違うで。けっこうリベラルや。
ノージック いやいや、あんたら二人ともリベラルとは言われヘン。一番リベラルなのはボクや。
サンデル キミはアナルコ・キャピタリズム志向。リベラルと対極や。ぼけ。
ノージック なにを!キミこそオストラシズムばりの互酬実践……日本でいえばムラ八分的な臭いがする全体主義者や。リベラルが聞いてあきれるで。
ロールズ こらー! アホぬかせ。そもそも沈滞していた政治哲学マンザイに火を付けたのはぼくやで。ぼくが一番エライ! ボクだけがリリベラル。ぼくほどエライ人間はいない。ボク以外の全員に無知のヴェールをかぶて、無知にしたる……
(ノージックとサンデルの両方から頬をドツかれ、ロールズのメガネがズレる)
3人 失礼しました~~。

▽参考サイト
レツゴー三匹 正児の「人がいて ぬくもりがあって 人がいて」
松竹芸能株式会社 - タレント一覧:レツゴー三匹

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