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2009年3月11日 (水)

アマゾンの1円本

1yenいまさらながらの疑問。amazon.com の used (中古)をみると、たまに1円で販売されている本を見かける。100冊売っても100円にしかならない。単純に値段で比べれば、わたしの新書1冊と吉津さんの中古本798冊余りが釣り合う勘定。なんでやねん?・・・この仕組み、いつかだれかが教えてくれるだろうと自らは調べずにいたのだけど、先日、つい勢いで1円本を買った。価格1円。送料340円。なぜだ?

吉津耕一 (1992) 『「草の根資本主義」って何??手づくりリゾートへの招待状』 農山漁村文化協会

アマゾンから送られてきたメールには、以下のように記されていた。

"「草の根資本主義」って何??手づくりリゾートへの招待状"
吉津 耕一; 単行本; ¥ 1
Usually ships within 1-2 business days
販売: ひまわり書房 同時2冊目~百円引

小計:          ¥ 1
配送料・手数料:  ¥ 340
          ---------
購入価格合計:   ¥ 341
税:            ¥ 0
          ---------
この注文の合計:  ¥ 341

考えられる可能性は3つしかない。ひとつは、在庫の処分費用よりも、ただ同然で売ったほうがコストが少ないというものだ。本を断裁するのはしのびない。利幅が少なくても読みたい人に読んでもらおうという書店精神のなせるワザだ。つぎに考えられるのは、送料部分に何らかの儲けの仕掛けがあるということだ。340円のうち、たとえば150円が転がり込むとすれば、100冊売れば1万5000円の売上げとなる。書店における文庫本の利益率を考えれば、まずまずだ。

残る可能性としては--わたしはこれが本命ではないかと睨んでいるのだが--、1円本を100冊売ると神様が願いごとをかなえくれるというものだ。高校生のころフォルクス・ワーゲン(ビートルに限る)を100台見かけたら願いがかなうという都市伝説があった。わたしも懸命に数えた。だが、赤ワーゲンを見たら振り出しにもどり、1台目から数え直さなければならなかった。しかもこの実践は、実行していることを他人に口外すると、願い事が叶わなくなるどころか、天罰が下されるということになっていた。この種の都市伝説が、中古書店業界に蔓延しているとすれば、ニュースだ。

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コメント

アマゾンの1円本、私も時々購入しますが
たいていは宅配のメール便で届きます。
その他書籍便でも送料は高くても180円くらいまでなんで
340円との差額がもうけなんでしょうかねぇ?

1円で見つけたのに・・・・
受取る度に、考えたら実質の支払額は店舗の100円ワゴン本より高いよなぁと。
あはは、せこいですかね?

でも書店を廻らずして1円で本がかえるなんてなんとありがたい事だと思います。

投稿: かのう | 2009年3月11日 (水) 12時18分

>かのうさん
 おっしゃるとおり、本を求める側にはありがたい話です。
 よく考えれば、差額で稼ぐというのは仲介業の基本ですね。340円のうち、一部がアマゾンに、一部が配達料金に、そして残りが書店に分配されるのでしょうね。断裁されるよりもマシなあつかい。
 ただ、なんというか、本を作る側にしてみると、「なんで1円やねん!」と複雑な気持ちになると思いますよ。

投稿: 畑仲哲雄 | 2009年3月11日 (水) 12時54分

送料との差額で儲けている‥‥と、聞いたこともありますが、
買う側にとっては便利なのでしょうね〜‥。
あ、ワーゲンの話、私のときは「黄色」でした。(笑)

投稿: mine | 2009年3月11日 (水) 21時27分

>mineさん
 なんと、九州では黄色でしたか!
 都市伝説あそびは、地域や時期によって異なっているものなのですね。

投稿: 畑仲哲雄 | 2009年3月11日 (水) 21時33分

>340円との差額がもうけ
そのとおりです。メール便なら出品者は200円程度利益があるはず。
それとは別に出品者はアマゾンに売上の数%を上納します。
みんなが嬉しい市場経済、参考にしたいものです。

投稿: | 2009年3月12日 (木) 09時50分

>匿名さん
 ありがとうございます。メール便で200円程度の利益だとすれば、利幅は大きいですね。
 作り手は「1円」という値段にショックを受けるかも知れないけど、廃棄の本を読みたい人に届けることで、Win-Winの関係を築く。まさに、市場が生み出す公共性といえそうですね。作り手も、読みたい人に本が届けらえるという利益を思えば納得できるでしょう。
 たいへん勉強になりました。こういうビジネスはほんとうに面白い。

投稿: 畑仲哲雄 | 2009年3月12日 (木) 11時20分

>メール便で200円程度の利益だとすれば利幅は大きいですね

出ない、出ない(笑)。絶対に200円も利益は出ないです(笑)

送料340円といっても、その送料からすらもアマゾンは80円の手数料をさっぴくから、まず、出品者にわたるのは260円(プラス商品代1円)だけです。

次に送料コストを計算すると、個人、または小規模業者の場合(実際は、多少甘め見てはくれるものの)1cm以内80円、2cmまで160円。ちなみにアマゾンとプロマ契約を結んでないと一件当たり別に100円の手数料を取られるからこの時点で赤字。

中規模の業者の場合、メール便は厚さによらず一律80円の契約が多く、大規模業者の場合はさらに送料割引が適用されますが、ただでさえ安いメール便なんて、普通は一通あたり60~70円までが限度。梱包料だってバカにならないし、結局一件あたりの「粗利」はよくがんばって150円前後です。

その粗利から人件費その他のを引いたのが利益ということになりますが、なんぼ安いバイトに流れ作業でやらせても、辛うじて数十円程度のプラスというところがせいぜいでしょう。大手でも。

ちなみにプロマ契約は月に4900円ですから、個人、もしくは実店舗を営むかたわら、月に100件程度しか売れないような零細出品者にとっては、1円出品は確実に赤字になります。
あ、もちろん以上の話は、仕入コストをゼロとして考えた場合の話。

投稿: 零細出品者 | 2009年5月 7日 (木) 18時53分

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