串カツに、長い行列、なんでやねん
大阪・民博での地域SNS研究会で7月11日にプレゼンする機会をいただき、その翌日(12日)、師匠と妹弟子(いもうとでし)に大阪案内をした。就職が決まった同居人も合流してくれて、午前中は芦原橋の「大阪人権博物館(リバティおおさか)」に直行。人権にまつわる各種展示をじっくり見学。リバティおおさかは、取材でいくどか訪れたことがあったが、本格的に常設展と特別展を見てまわるのは初めて。こういう施設は貴重だと痛感した。日曜日の午前中だというのに、入館者はそこそこ多く、修学旅行や各種研修コースに組み入れられているのかもしれない。
大阪人権博物館 http://www.liberty.or.jp/
新世界へようこそ! http://www.shinsekai.ne.jp/
リバティおおさかの後は、通天閣がそびえる新世界に繰り出したのだが、この街の変化には目を見張った。いたるところに金ピカのビリケンさんが飾られ、とにかくにぎやかなのである。わたしが子供だった時分の新世界は、かつては華やかだったであろうレトロな面影がわずかに残る寂れた地域で、すくなくとも若い世代は足を運ばなかった。それが今や、全国からの観光客でにぎわう観光地として息を吹き返しているのだ。ただし、ちょっとこれは・・・・と思ったのは、串カツ屋の人気店に長い行列ができていたこと。串カツは、炎天下で行列して食べるものとはちがいまっせ、観光客のみなさん。
わたしたち4人は、行列のできていないふつうの串カツ屋さんで軽く昼食をとり、ジャンジャン横町どんどん南下し、動物園前商店街を経て、飛田と釜ヶ崎へ。飛田新地は朝から戸を開いて顔見せしている女性も少なくなく、用もない人間がうろちょろ見て歩くこと自体、たいへん失礼な行為にあたる(わたしたちは思い切り浮いていたと思う)。申し訳なさを胸にしまいこみつつ、それでもなお、この土地がいつか消えてしまう前に、師匠と妹弟子にはアカデミシャンとしてじぶんの目で見ておいてほしかった。
そこから堺筋をまたいで、阪堺電車のガードをくぐり、労働者の街・釜ヶ崎(あいりん地区)へ。当然、わたしたちはここでは異形の存在で、おっちゃんたちの「なんや、あいつら」的な視線を浴びながら、三角公園の鉄箱テレビや改築した西成署をつつむドヤ街一帯をざっと練り歩いた。さぞかし浮いた存在であったろう。
「ディープ・サウス」(←この言い方、どないかならんかな)と呼ばれる地域を歩いたあとは、天満に移動したが、なんと「天満・菊水」が2ヶ月以上前に店を閉めたことを知り、ショックを受けた。もう、あのお好み焼きを食べられないのかと思うと、とても無念。それでもダンジリのBGMで気を取り直して、中崎町の「うまい屋」さんでたこ焼きを食べた(おいしかった!)。その後、天満の天神さんにお参りしておみくじをひいたら、妹弟子は「大吉」、わたしは「凶」。きっといいD論が書けますように、と賽銭を投じたのに(涙)。
追記 2009年7月14日
Youtubeでみつけた関連動画
▽岐路に立つ街・飛田新地 http://www.youtube.com/watch?v=bXt7x07XbtM
朝日放送の夕方のニュースようである(求む情報!)。存続が危ぶまれている遊郭の略史が紹介され、地元に誇りを持つ仲睦ましい父娘の姿が映し出され、最後は飛田が「マイノリティの貴重な文化」だという沖浦和光氏のコメントとともに終わっている。こんなツッコミどころ満載のニュース、初めて見ました。
▽KAMAGASAKI 釜ヶ崎を訪ねる http://www.youtube.com/watch?v=T0bt31Eb54I
炊き出しの会の稲垣浩さんが紹介する釜ヶ崎の一断面。炊き出しシーン、職安の実態、地元中学に設置された野宿者対策の散水装置、西成署が設置した監視カメラなどを次々紹介。秀作です。
▽釜ヶ崎人情 http://www.youtube.com/watch?v=9b_ecSqWtmA
三音英次さんが歌う釜ヶ崎の歌。いろんな人がカバーしている。
▽憂歌団 - シカゴバウンド http://www.youtube.com/watch?v=Sqt-6jPa_eA
歌詞のなかに「おれによく似たそこのオッサン、おれと一緒に飲もうじゃないか」というセリフがあり、この歌を聞くたびに、釜ヶ崎を思い出す。
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