コーテンのNGO世代論 (備忘録)
日常語として用いられる市民 citizen や市民社会civil society は多義的すぎて論文に記す際には慎重さが求められる。だが、マスメディアやジャーナリズムの正統性を再検討するうえで、市民に関する議論は避けて通れない。市民社会に関する議論のなかで、いくつかの理論やキーワードを備忘録として残しておく。まずは、ひとつは、D.コーテンのNGO世代論。NGO/NPOをめぐる議論は、V.ペストフの三角形とも関連し、体系的な理解が必要だ。
コーテン,デビッド (1995=2004) 『NGOとボランティアの21世紀』 渡辺龍也訳, 学陽書房
Website David Korten.org http://www.davidkorten.org/home
People-Centered Development Forum http://www.pcdf.org/
Yes! Magazine http://www.yesmagazine.org/
コーテンは長年、世界各地の開発に専門家として関わってきたが、政府機関などの手による援助や開発に限界や疑問を感じ、エスタブリッシュメントの世界から飛び出し、NGOの理論家・活動家に転身した。コーテンがNGOの“進化”戦略として設定した4つの世代は別表のとおり。
国際NGOを想定して考えられているが、じつは小さなコミュニティの問題・課題や困りごとに取り組むNPOにも援用できる。たとえば活動の主体(担い手)をみると、コーテンは第1世代(NGO)、第2世代(NGOと地域共同体)、第3世代(関係するすべての公的・民間組織)、第4世代(民衆と諸組織のさまざまなネットワーク)と分類した。第1世代やが未熟で愚かと主張しているわけでは決してない。いずれの世代も重要である。ただし、NGOの“進化”の筋道とその戦略を示したにすぎない。
ちなみに、コーテンとはいかなる人物か。People-Centered Development Forum によると、デビッド・コーテン(David Korten)は、グローバル企業が引き起こしている問題に警告を発し続けている知識人。主著"When Corporations Rule the World"は、シアトルを起点とするWTO反対運動でたびたび参照されてきた。
コーテンの肩書は「民衆中心の開発フォーラム(the People-Centered Development Forum)」代表、かつ、ニュースレター"Yes! Magazine" を発行する「積極的未来ネットワーク(The Positive Futures Network)」の共同設立者兼委員長、かつ、「地域生活経済のための事業提携(the Business Alliance for Local Living Economies = BALLE)」の共同議長。思想家でもあり活動家でもあり研究者でもある。学者としてのキャリアもすばらしい。まず、スタンフォード・ビジネス・スクールでMBAとPh.D.を取得後、ハーバード・ビジネス・スクール教授やフォード財団プロジェクトのエキスパートのほか、米国際開発庁 (USAID) のアジア地域開発運営のアドバイザーを務めたことがある。
コーテンの反グローバリズム思想は、30年にわたってアジア、アフリカ、南米の開発にスペシャリストとして関わってきたことの反省であり、結論でもある。
ちなみに若いころは、米空軍の機長もやっていたというから、まさに文武両道の人。いるんですね、こういう人が。
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