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2009年10月29日 (木)

部落問題とサバルタン

Can_the_subaltern_speak部落問題を語ろうとするとき、わたしにはいくつかの障壁がある。端的にいえば“立ち位置”の問題である。政治性あるいは党派性といってもよい。解放運動は、全国水平社を源流とする複数の運動団体によって牽引されてきた。それぞれ異なったイデオロギーを掲げ、激しい論争が繰り広げられてきた。興味本位で論争の“行司役”になることはできない。しかし「部落問題」を避けるという行為それ自体、差別をめぐる状況の一部を構成してしまう。部落問題にとどまらず差別の問題にコミットすることは、考えれば考えるほどむつかしい。

Spivak, Gayatri C. (1988=2008) Can the Subaltern Speak?, In Marxism and the Interpretation of Culture., Eds. Nelson C. and Grossberg L., University of Illinois Press, pp. 271-313.(上村忠男訳『サバルタンは語ることができるか』みすず書房).

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2009年10月20日 (火)

矛盾論理

落語の「まくら」の目的は、わたしたちの日常生活に身近な話題から「おやっ?」と思わせて話に引き込んでいくことだ。わたしが敬愛する故・桂枝雀師匠のまくらのなかに無精の者の小噺がある。なにをするにつけても「面倒だ」「じゃまくさい」と消極的な無精者たちが、たまたま大勢集まるような機会があった。1人の不精者が周りを見わたして言った。「こんなにも無精者が大勢集まるのは珍しい。せっかくなので『無精者の会』というのを作ったらどうか」。それを聞いていた隣の無精者が言った。「じゃまくさいから止めておこう」。

「紺屋の白袴」みたいな話だが、こういうのを思い付くまま列挙すると。

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2009年10月15日 (木)

恐怖する「勝ち組」

素朴な疑問をひとつ。失業やホームレスの問題は「雇ってもらえない人」の問題ではない。派遣切りをしたり、雇い止めをしたり、内定取り消しをする「冷酷企業」だけの問題でもないような気がする(責められる会社もあるだろう)。むしろ、社会全体の問題じゃないか。すこし無理めの例えだが、わたしたちは仕事と金という資源の「椅子取りゲーム」をしているようなもので、ひとりで椅子を5つも6つも独占させないような仕組みを導入する必要がある。一度や二度、椅子に座れなくても、「明日があるさ」といえる世の中が好ましい。仕事や金は、椅子とは違って分割できるが、なぜ分割しないかというと、ひとたび「負け組」に陥ってしまうと「明日がない」からで、「勝ち組」はイケているようで、じつは転落してしまうことに過剰に恐怖を感じているのではないだろうか。

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2009年10月13日 (火)

ワンコが登場する作品

Marley_and_meDog_and_me先日、はからずも映画を見て泣いてしまい、それを同居人に見られてしまった。映画に感動して涙がこぼれたのではない。わたしは、犬が死んでいく場面があると、きまってスイッチが入ってしまうのである。『犬と私の10の約束』は涙が止まらなかった。『マーリー:世界一おバカな犬が教えてくれたこと』も、ウルウルした。幼いころに飼い犬を失ったときの心的外傷(トラウマ)が影響しているのだ。犬を死なせて涙を誘う映画はもうしばらく鑑賞しない。ちなみに、『いぬのえいが』と『ドッグ・ショウ!』は人の哀れがより強く描かれているのがよい。

本木克英監督 『犬と私の10の約束』 (松竹、2008)
デヴィッド・フランケル監督 『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』 (原題: Marley & Me, 2008, 米)
犬童一心監督 『いぬのえいが』 (ザナドゥー, 2005)
クリストファー・ゲスト監督 『ドッグ・ショウ!』 (原題: Best in Show, 2000, 米)

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2009年10月10日 (土)

『フロスト×ニクソン』とインタビュー技法

Frostnixonウォーターゲート事件で失脚したリチャード・ニクソン元大統領は、恩赦によって刑事責任を免れたまま身を潜め、政界復帰を目論んでいた。そんなニクソンに道義的責任を問ったのは、ワシントンでブイブイ言わせていた大物政治ジャーナリストではなく、英豪でトーク番組の司会をしていた英国の小男だったことを、恥ずかしながらこの映画で知った。男の名はデビッド・フロスト。だれも彼を「ジャーナリスト」と見なしていなかった。ピーター・モーガンによる舞台脚本をロン・ハワードが映画化した。事実は脚色はなされているが、本当にあったことで、映画もよかった。

ロン・ハワード監督 『フロスト×ニクソン』 (原題: Frost/Nixon, 2008, 英・米)

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2009年10月 8日 (木)

Oral Presentasion in English (備忘録)

東京大学大学院情報学環福武ホールで10月1日、「Danish- Japanese Digital Media & Journalism Workshop」が開催され、指導教員と副指導教員の強い勧めに 屈し 従い、英語の口頭発表に挑戦した。聴いてくれたのは、デンマークのジャーナリズムスクールで学ぶ約20人の現役ジャーナリストたち。ほとんどが 40~50代で、わたしと同年代か少し上の世代。熱心に耳を傾けてもらった。また、なによりも、わたしの下手な英語原稿に目を通し、適切な英語に直してくれたオーストラリアからの留学生には本当に世話になった。ありがとね(こんど、高級居酒屋でチューハイと一品をご馳走します)。

Danish School of Media and Journalism

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2009年10月 7日 (水)

今宵、新聞社とNPOの「協働」を考えるつどい

Media_studies_20091001_poster_mini■公開研究会 新聞社×NPO ~「協働」の可能性

 10月7日(水)夜、本郷キャンパス工学部2号館9階93教室で、公開講座「メディア研究のつどい」(電通コミュニケーション・ダイナミクス寄付講座)を開催します。今回のテーマは「新聞社×NPO~『協働』の可能性」です。
 新潟県上越市の地域新聞社が10年にわたって紙面の一部をNPOに無償開放し、NPOが紙面を通じて市民活動をサポートしています。この「協働」を続けて以降、新聞社は部数が増えたと話し、NPOも域内の市民活動が活発になった説明しています。
 今回の「メディア研究のつどい」では、この実践を続けてきた新聞社の編集局長とNPO理事長の2人を講師に招き、新聞社とNPOの「協働」について話を聞き、議論します。参加費無料です。ふるってご参加ください。
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主題: 新聞社×NPO~『協働』の可能性
日時: 2009年10月7日(水)18:30-20:30(開場18時00分)
会場: 東京大学 本郷キャンパス 工学部2号館 9階93教室(目印はSUBWAYです)
講師: 上越タイムス社編集局長・山田護さん
     くびき野NPOサポートセンター理事長・秋山三枝子さん
企画: 東京大学大学院学際情報学府博士課程 畑仲哲雄(林香里研究室)
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地図つきチラシをダウンロード→ PDF file

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