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2009年11月30日 (月)

学者と芸人

先般、ひさしぶりに師匠の授業の代役を務めた。ゲスト講師や公開研究会の司会進行などは何度もやってきたが、学部生向けの講義をして、教育の難しさをあらためて思い知る。ちなみにわたしも、学生からもらうと一番うれしい感想は「面白かった」である。教員は笑わせてナンボではないけれど、芸人から学ぶことは多い。長谷部先生も爆問学問で学者は芸人というようなことを話しておられたようだが(by同居人)、「学者芸人」の看板を掲げる一ツ橋大学講師のサンキュータツオさんなどを見ると、なるほど見事な「二足のわらじ」だなあと感心する。

米粒写経公式ホームページ http://kometsubu.com/
サンキュータツオ教授の優雅な生活 http://39tatsuo.jugem.jp/
「おもしろ研究論文」荒川強啓デイ・キャッチ、メキキの聞き耳MP3ファイル(20091022)

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2009年11月28日 (土)

映画『レスラー』とプロレスラーの死因

The_wrestler_posterサラリーマンたちのサボリ場とも言われる新橋文化(映画館)で、今さらながら『レスラー』を観た。ブルース・スプリングスティーンのエンディング曲が流れてきたとき、そこかしこで鼻水をすする音がした。客はおっさんばかりの小屋で、こんな経験をしたのは初めてだった。鼻風邪の人も混じっていたと思うけど、ひっしに涙をこらえていたおっさんもいたはず。第65回ヴェネツィア国際映画祭での金獅子賞受賞と第66回ゴールデングローブ賞主演男優賞 (ドラマ部門)受賞は「なるほど」と納得できた。

ダーレン・アロノフスキー監督『レスラー』(原題: The Wrestler, 2008, 米)
村西とおる日記:漁師と海猿、そしてまたもや酒井法子さまと剛竜馬のことなど・・・

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2009年11月19日 (木)

『恋はデジャ・ブ』にみる大乗仏教

Groundhog_day_sp1〈きのう〉は本当に存在したのか。〈あしは〉た本当にくるのか。子供時分、そんなことを考えているうちに恐くて眠れなくなった(結局眠ったけど)。朝、目が覚めても、まだ夢の中にいるんじゃないかという疑いが残った(夢の中で目が覚めたことは何度もある)。じぶん以外の人間は本当に存在するのだろうか。じぶんの目の前にいる彼ら彼女らには、じぶんと同じような心や意識はあるのだろうか。もしかすると、機械仕掛けで動いているだけの存在じゃないだろうか。そもそも、じぶん、って何者なんだろう。もしかしたら、神のような超越的な存在が生み出した世界の登場人物じゃないだろうか・・・・隠れた名作『恋はデジャ・ブ』を観ながら、子供時分にわたしを悩ませた時間や存在について問いを次々と思い出した。(この映画には仏教的なものは一切描かれていません)

ハロルド ライミス監督 『恋はデジャ・ブ』 (原題: Groundhog Day, 米, 1993)
Zito, Angela (2009) 'Groundhog Day, Again', The Revealer, New York University.
Gammage, Jeff Gammage (2007) "The enlightened 'Groundhog'", Buddhist Channel.

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2009年11月16日 (月)

メディアと多元性(divirsity)

Kadooka
ゼミに新しい研究プロジェクトができた。メディアと多元性(diversity)。わがゼミでは2005年から「メディア研究のつどい」などの公開研究会を開いているし、ほかにも勉強会があるけれど、今回生まれた「メディアと多元性」プロジェクトは、言論空間や日本社会の多元性を考えていくことに主眼を置く。旗揚げ興業にあたる第1回目の研究会の講師として、フリーライターの角岡伸彦さんにお越しいただいた。そして、彼のその見事な「しゃべくり」にすっかり魅了された。

公開講座「私が見た被差別部落、メディア、日本」 ( JM / iii / lab.
角岡伸彦 (1999) 『被差別部落の青春』 講談社(2003年文庫化)
角岡伸彦 (2003) 『ホルモン奉行』 解放出版社
角岡伸彦 (2005) 『はじめての部落問題』 文春新書
角岡伸彦 (2009) 『とことん!部落問題』 講談社

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2009年11月10日 (火)

百里の道でまだ二十五里

Iii_2
先日、3回目の「博士課程コロキウム」という発表会に臨み、どうにか発表と報告をすませた。この発表会は、毎年行われる「審査」というか、指導のひとつで、正副指導教員を含む3人の前で研究内容を発表し、応答しなければならない。わが大学院では3回のコロキウムを経なければ博論執筆に取りかかることができないという重要な関門だが、もし仮に博論が書けなくても3回のコロキウムを通過したら、「まんたい」と呼ばれるイッチョマエな肩書きがいただける(←正確には博士課程単位取得満期退学で、昔は「博士課程修了」などと呼ばれていた)。ここまで来たら最後まで走り抜けてみたいという悪心もわいてくる。入学当初のわたしは大学院を「難易度がちょい高めのカルチャーセンター」と考えていたのに、この心境の変化はなんだろう。

社会人と大学院(1)社会人と大学院(2)社会人と大学院(3)社会人と大学院(4)

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2009年11月 8日 (日)

移民映画祭で先輩と再会

ImigrantsSeri_harr上智大学で開催されている第1回移民映画祭(Migrant Film Festival2009)会場に足を運んだところ、かつて務めていた新聞社でお世話になった先輩と22年ぶりに再会した。わたしと先輩の最初の遭遇は 1987年の広島。国立大学の学部長が殺された事件で、支局のチンピラが右往左往しているところへ、大阪社会部から先輩を含む2人が応援で派遣されてきた。ちびっ子探偵団がバリバリの中堅から手ほどきを受ける好機だった。先輩はわたしたちを怒鳴り散らすようなことはせず、京大式カードでデータベースを作る人だった。彼はその後、大阪社会部から政治部に異動して永田町あたりでブイブイいわせていたはずだけど、現在は多文化情報誌「イミグランツ」の編集長になっていた。エスニックメディアの研究をするとき、頼りになる相談相手ができて嬉しい。

第1回移民映画祭(Migrant Film Festival2009)
チャン・スヨン監督 『セリとハルSeri & Harr』 (原題:세리와 하르, 2007, 韓国)
多文化情報誌Immigrants イミグランツ 公式サイト
多文化情報誌 イミグランツ -Immigrants-編集長日記

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2009年11月 3日 (火)

痛すぎ、『WATCHMEN』の実写版

Watchmen_cinema_poster2アメリカン・コミックスを読んで育った30代~50代のアメリカ人(たぶん男)なら、この映画も細部まで楽しめるのだろう。だけど、こういう作品が作られたということと、この映画が問いかけている内容は、とても興味深い。わたしは映画『ダークナイト』の主人公ブルース・ウェインを、米イラク戦争における武装会社ブラック・ウォーターにダブらせて見たが、『WATCHMEN』のヒーローたちときたら、作品中でケネディを暗殺したり、ベトナム戦争に参加して自分が孕ませた現地の妊婦を虐殺したり、ニクソン三選のために暗躍したり・・・・と、そのまんま! もし、スーパーヒーローが存在しとしたら、という設定は、第二次大戦で日独伊三国同盟が勝利した後の世界を描いたP.K.ディック『高い城の男』 (ハヤカワ文庫)と同じく、思考実験としてはおもしろい。難点を挙げれば、この映画の暴力描写は痛すぎる。

ザック・スナイダー監督『ウォッチメン』(原題: Watchmen, 2009、米)
Moore, Alan and Gibbons, Dave (1986=2009) Watchmen, DC Comics (石川裕人,秋友克也,沖恭一郎,海法紀光訳『WATCHMEN ウォッチメン』小学館集英社プロダクション)
クリストファー・ノーラン監督 『ダークナイト』 (原題 : The Dark Knight、 2008、米)
P.K.ディック. 『高い城の男』 浅倉久志訳、ハヤカワ文庫、1984

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