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2009年12月30日 (水)

『夜になるまえに』と「反革命」芸術家

Before_night_fallsOkujyawa同居人が何の気なしに借りたDVDがビンゴだった。コーエン兄弟の『ノーカントリー』で心のない殺人者を演じたハビエル・バルデムが、亡命キューバ人でゲイの小説家レイナルド・アレナスを熱演していた。なるほど役者とはこんなにもすごいものなのかと唸ると同時に、アレナスとヴィソツキーやオクジャワたちとの共通点を考えた。

ジュリアン・シュナーベル監督 『夜になるまえに』 (英題: Before Night Falls, 原題: Antes Que Anochezca, 2001, 米)
ブラート・オクジャワ 『紙の兵隊』 (オーマガトキ, 1998)

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2009年12月28日 (月)

アラン・ムーア 『フロム・ヘル』読了

From_hel_02From_hel_01コミックで初めてヒューゴ賞に輝いたアラン・ムーア『フロム・ヘル』(みすず書房)をようやく読了。エディ・キャンベルの陰鬱な作画とムーアが紡ぎ出す衒学的な世界や登場人物の科白に目まいを覚えた。すでに「切り裂きジャック事件」に関する知識を持つ人ならもっと楽しめただろう。正直いうと、わたしには知識が乏しすぎた。ただ、ひととおり読み終えて、けっこうな量の補遺があることに気付き、それをパラパラ眺めていると、1888年のロンドンで発生したこの事件がいかに異様で、いかに多くの人の関心を引いたかが分かる。エヴァンゲリオンの謎解きどころではない。

アラン・ムーア, エディ・キャンベル『フロム・ヘル(上)』(柳下毅一郎訳, みすず書房, 2009)
アラン・ムーア, エディ・キャンベル『フロム・ヘル(下)』(柳下毅一郎訳, みすず書房, 2009)
アラン・ムーア『フロム・ヘル』日本語版オフィシャルサイト
Jack the Ripper - Wikipedia, the free encyclopedia

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2009年12月25日 (金)

『キャピタリズム』とムーアの「正義」

Simintaihoすべての作品を観たわけではないが、マイケル・ムーア監督の作品を貫いているのは“弱く貧しい人々が割を食う世界はゴメンだ”という一種の正義感覚だと思う。最新作『キャピタリズム マネーは踊る』でムーアは、資本主義を痛罵しつつ、少しカビの生えた感がある社会主義やかカソリックを対抗理念として掲げた。終幕エンドロールで流れたのは「インターナショナル」(とウディ・ガスリーの「ジーザス・クライスト」)。おだやかに晴れた休日の昼下がりにもかかわらず、薄暗い映画館内は満席。この歌をじっと聴く観客の一人になるというのは、なんとも不思議な感覚であったが、その後、仕事をしていて、ふと自分がやっているのはオーウェル『1984年』のウィンストンと大差ないのでは・・・・という恐ろしい錯覚を覚えた。

マイケル・ムーア監督『キャピタリズム マネーは踊る CAPITALISM:A LOVE STORY』公式サイト
Michael Moore, Capitalism: A Love Story Official Web Site

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2009年12月18日 (金)

HALの近影

Photoわが家のHALは寒いのが大の苦手。ガス・ファンヒーターのスイッチを入れると、クレートから出てきて、熱風の前に陣取って動こうとしない。寒がりでズボラというのは飼い主に似たのだろう。散歩に出ても、冷たい風が吹くとすぐにブルブル震えてしまい、「帰りたい」と芽で訴えることも。そういう犬種なのだから仕方がないが、ちょっと情けないぞ。おひさしぶりの秋から冬にかけての写真を掲載します。

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2009年12月13日 (日)

老眼デビュー ( Eye 2.0 )

Rogan_3わたしの歳なら遅いぐらいかもしれないが、ついに老眼鏡をつけることにした。近年の頭痛や首肩の激しいコリの原因のひとつに眼精疲労があることは感じていた(耳の上あたりがやたら凝るのです)。近くの眼鏡屋さんで検眼したら、やはり老眼は進行していて、遠くを見るときは右目、近くは左目だけで見るようなアンバランスな目の使い方が続いていたらしい。同居人からも「早く(老眼鏡を)作りなさい」と勧められていたので、あきらめて作ることにした。

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2009年12月11日 (金)

演説を歌ったジャーナリスト

Hayariuta_50yearsAzenbou_ikiteiruKankara_songs「演歌」という言葉が「演説」の「説」を「歌」に置き換えた造語として用いられていた時代があったことを、今ごろ知った。演歌の演じ手は「演歌師」と呼ばれ、今の言葉でいえば、シンガーソングライターとストリートミュージシャンとフリー・ジャーナリストを合わせたような存在であったようだ。演歌のスタイルも、為政者をからかう政治的アジテーションや、貧しい人々を慰撫する哀歌、どこか笑える春歌・・・などいろろあった。そんな演歌師たちが生き生きと歌ってい時代が明治から大正にかけての日本にあり、添田唖蝉坊という人はひときわ光を放っていた。(興味のある人はYouTubeなどで視聴してみてください)

添田知道 (2008) 『流行り唄五十年 唖蝉坊は歌う 小沢昭一 解説・唄』 朝日新書
岡大介・小林寛明 (2008) 『かんからそんぐ 添田唖蝉坊・知道をうたう』 オフノート/邑楽舎
添田知道, 高田渡ほか (2008) 『唖蝉坊は生きている』 キングアーカイブシリーズ

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2009年12月 6日 (日)

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』と中学の先輩

Asamaことし観たDVDでのベスト1は、おそらく『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』になるだろう。イデオロギー闘争の時代に青春(?)の日々を送った若松監督が個人的な思いから撮った作品だが、現代社会を批判的に読み解くパースペクティブを提供してくれる。この事件で描かれているのは、特殊な時代の特殊な人々による特殊な体験ではなく、じつは普遍的なもののような気がする。まちがっても、風化しかけた昔話ではない。

若松孝二監督 『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 (若松プロ、2007)

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