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2010年4月23日 (金)

就職活動とサイレント

週刊東洋経済の山縣裕一郎さんがラジオ番組で紹介されていた「サイレント」という現象に胸が痛くなった。2010年4月22日のTBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」にニュースズームアップ+αというコーナーで山縣さんが問題にしていた「サイレント」とは、就活の学生にYesともNoとも伝えず、放置する企業の不誠実な行為を指す学生たちの隠語である。学生を「サイレント」状態に置く企業は少なからずあり、有名企業に多いということだ。

山縣裕一郎「就職活動で問題化するサイレントとは」 TBSラジオ森本毅郎スタンバイ 2010/04/22
Podcast MP3 Audio File - http://podcast.tbsradio.jp/stand-by/files/plus20100422.mp3

山縣さんによると、就活学生たちには「お祈りが来た」というスラングがあるという。「お祈り」とは、企業からの不採用通知の文末に書かれている「あなたの実り多い就職活動をお祈りします」の「お祈り」である。いくつもの企業に祈られて「仏になりそうだ」と自分を笑いながら次の企業にアタックできればまだ幸せだ。でも、ESや面接などの結果が、待てど暮らせどやってこないという状態が続く「サイレント」は、無視されたような宙ぶらりんの状態だし、かなりつらいだろう。山縣さんは以下のように話していた。

若い人たちが真剣に戸を叩いて、手続きも取って、ルールに則って、ある意味、勝負をしに来ているわけですね。それに対して、あまりにもバカにした態度じゃないかと思う。一人前として扱っていないということです。(中略)企業は社会的責任だといいながら、けっこう有名な大企業でこういった行動を取っているところが多い。

就職活動は、学生にとってじぶんの価値を認めてもらう全人格的な闘いともいえる。学生は、その企業に好印象を抱いていればこそ応募しているわけである。一方、企業側からすれば、続々と押し寄せる学生を選別して「良質」と思える人物を調達するのがミッションだが、それは仕事のひとつにすぎない。採用する側は圧倒的に学生よりも強い立場に立っていて、試す/試される、選ぶ/選ばれるという関係が固定化している。山縣さんがいうような「サイレント」が有名な大企業で多く見られるというのは、企業側の高慢と怠惰の断面だろう。

学生たちは、じぶんを「サイレント」の状態に置いたクソ企業などに未練を抱かず、就活を前へ進めるほうがよい。「サイレント」は不道徳なことで、批判されるべきだ。でも、抗議や批判は就職を決めてからすればよい。「有名な大企業」が悪事を働いたり、社会の「お荷物」になったりする例はいくらでもある。CMから連想されるイメージに踊らされてはいけない。ただし、学生たちは、じぶんの価値を品評されるのは就活のときだけではないということも知っておくべきだ。就活は始まりにすぎない。

山縣さんの雑誌では、人気企業ランキングのような特集を組まれることがあると思うが、できれば、就活を経験した学生への大規模な調査をおこなって、「サイレント」度の高い企業のネガティブ・ランキングを特集なさってはいかがか。ラジオでしゃべるよりも、ビジネス界にインパクトを与えるはずです。東洋経済ならばできるでしょう?

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