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2010年12月30日 (木)

傑作!『町の政治~べんきょうするお母さん』

『誰が医療を守るのか』の著者でもあるママサンちで、時枝俊江監督の『町の政治~べんきょうするお母さん』を観賞させてもらった。この作品はドキュメンタリーとかノンフィクションというよりも、岩波の教育映画と呼ぶべきかもしれないが、たいへん見応えがあり、じつにいろんなことを考えさせてくれる傑作である。テーマは多岐にわたる。地域自治、公民館活動、政治参加、子供の教育と社会教育、市民性・公共性、メディア実践・・・などなど数え上げればきりがない。地に足ついたデモクラシーとはこういうことをいうのだろう。

時枝俊江監督『町の政治 : べんきょうするお母さん』 (岩波映画 ,1957)
映画『町の政治』製作50年 くにたち PEACE WEB
おかあさんの民主主義―岩波映画に見る昭和30年代のくらし― JM

映画は、1950年代後半の東京・国立で、子育て中の母親たちが毎週火曜の夜に公民館につどい、町予算がどのように使われているかを勉強し、教育への適切な配分について意義申し立て・提言(いまでいうアドボカシーですね)をおこなう過程を記録している。

この時代の国立は市ではなく人口2万~3万人の町で、財政もそれほど豊かではなかった。お母さんたちを勉強に駆り立てたきっかけは、子供たちが通う小中学校の施設が劣悪であったことだ。財政収支をみれば、たしかに教育費にはそれなりの予算が割かれているが、お母さんたちは内訳をよくしらべる。すると、施設にかかる営繕費ばかりがかさんでいて、教育それ自体にお金が回っていないことが判明する。

このほか、お母さんたちの勉強会では、教科書代金を支払うのが困難な家庭のためにPTAでお金を出そうじゃないかというような提言がなされたり、お母さんたちが廃品回収をして資金を捻出したりする場面も映し出される。お母さんたちに、なぜここまで自主自立の精神が宿っていたのだろう、と不思議な気持ちになる。

まちづくり、コミュニティオーガナイズ、NPO/NGO活動などに関心のある人は必見だと思う(政局取材にうんざりしている若い政治記者たちも見るべし)。ママサンが人を呼んで議論したくなる気持ちがよくわかる。・・・・そういえば、ママサンの『誰が医療を守るのか』も、わが子を守ろうとする母たちが民主主義の担い手だった! この映画に関心のある人は、ママサンの本もしっかり読むべし。(誤解がないように記しておくと、ママサンはおじさんです)

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コメント

おじさんのママサンです。(笑)

広げたくなる映画だったでしょ。
感想を語り合いたくなる、映画だったでしょ。
で、
なんか閉塞しきっちゃいる「今」と立ち向かおうとする「私」を考えさせてくれる映画。

>(政局取材にうんざりしている若い政治記者たちも見るべし)

ですね。まさに。
今だからこそ、見て頂きたい映画です。

また、やりましょ。

投稿: ママサン | 2010年12月31日 (金) 12時51分

>ママサンさん
 その節はたいへんありがとうございました。おっしゃるとおり、議論を呼ぶ映画です。どこかから借りてきた〈制度〉としての民主主義ではなく、日々の暮らしをよくしたいという母たちの勉強のなかに宿った〈理念〉としての民主主義、ですね。
 この映画を含む岩波映画が、東大・情報学環で浄衣していたんですね。学生のくせに、見逃していました。残念。。。
 3/14(日)「おかあさんの民主主義ー岩波映画に見る昭和30年代のくらし」開催のお知らせ
 

投稿: 畑仲哲雄 | 2010年12月31日 (金) 19時49分

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