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2013年10月 6日 (日)

新幹線内のMITTOMONAI

モンスター○○といわれる人を初めて目撃した。先日、京都から東京に戻る新幹線の車内で、背広姿の中年男性が、車掌を延々と叱りつけているのを見せつけられた。モンスターの怒りに火を付けたのは、おそらく私の存在であったと思われるので、車掌さんほどではないにしても、私もたいへん不快な気持ちになった。

JR東海新幹線エクスプレス予約でようやく1000ポイントを貯めた私は、その夜ひさしぶりにグリーン車に乗った。予約した席は8号車最前列のC席で、右隣のD席に着いた男性がモンスター乗客に豹変した。モンスターは着席するなり靴を脱ぎ、弁当を食べ、缶ビールを1本空けた。その後、じぶんの鞄と弁当箱のガラなどを手にして、私の前を無言で通りすぎ、すこしうしろの空席に座り直した。そして通りかかった車掌を呼び止めて、ネチネチと文句を言い始めたのである。

モンスターの主張は、1)グリーン車は空席だらけなのに自分が一番隅っこ(車両先頭のD席)に閉じ込められたのは心外だ、2)乗客を軽視したJRはたるんでいる、3)今回のような問題に対し車掌は人間としてどう反省するか述べよ、4)いまの最高責任者に説明と謝罪を求める・・・みたいなものであった。たしかに男がいうようにグリーン車両は空席が目立っていたが、私とモンスターの2人だけというわけではけっしてなく、乗客が偏って座っているわけでもなかった。つまりモンスターの事実認識は間違いであり、抗議の内容もおそろしく幼稚であった。

想像するに、このモンスターはC席とD席を独り占めしたかったのである。それは独占欲というのではなく、じぶんの隣に見知らぬ他者(この場合は私)が1時間も2時間も座るのが嫌だったのだろう。だが、モンスターは私に対して「別の席に移れ」と言うような勇気がなく(ゴフマン的にいえば儀礼的無関心ですね)、その代償行為として車掌に怒りをぶつけたと思われる。

わたしは時おりふり返ってモンスターのようすを観察した。年齢は60~65歳くらい、こざっぱりしたスーツ姿で、会社ではそれなりの役職に就いているような風貌であった。言葉使いは粗っぽくはなく、大声を張り上げていたわけではないが、上から目線の横柄な口調はなんだか嫌な印象であった。東京に着くまで、モンスターのもとには都合3~4人の車掌が入れ替わり立ち替わりやってきて頭を下げていた。まあ、車掌たちも、「クワバラ、クワバラ」的な手慣れたようすであったが。。。

必要以上に足を広げてすわったり、じぶんの隣の席に荷物を置いて寝たふりをしたりというマナー違反の事例は、地下鉄や在来線でもたびたび見られる。パブリックな空間で、対人距離を取りたいというのは誰にも起こる心理である(プロセミクスproxemics =近接学など参照)。こうした問題を私たちが越えていくには、外側からの強制力によるのではなく、道徳的な理性を内側から呼び覚ますのがよい。たとえば「みっともない」という感情。ワンガリ・マータイさんが日本語の「勿体ない」を MOTTAINAI として世界に広めてくれたが、公共空間のルールとして MITTOMONAI という戒めを導入できないだろうか。そんなことを思った夜であった。

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