インターステラーと仮名手本忠臣蔵の共通点
『バットマン・ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督最新作『インターステラー』を観てきました。ワームホールを利用した恒星間飛行は「スタートレック」で幾度となく“疑似体験”しているのでビビったりしませんでしたが、親子の人情話はズシンと心に響きました。
『仮名手本忠臣蔵 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 (1))』( ポプラ社、2003)
ロバート・ゼメキス監督『コンタクト』(1997)
カール・セーガン『コンタクト』〈上・下〉(新潮文庫、1989)
リチャード・ドナー監督『タイムライン』(2003)
マイケル・クライトン『タイムライン』〈上・下〉 (ハヤカワ文庫NV、2003)
『インターステラー』公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/
キップ・ソーン博士公式サイト http://www.its.caltech.edu/~kip/
親子の情といえば、「仮名手本忠臣蔵」五段目・山崎街道でしょう。「またも降りくる雨の足、人の足音とぼとぼと、道の闇路に迷わねど、子ゆえの闇に突く杖も、直ぐなる心、堅親父」です。『インターステラー』の主人公クーパーも「子ゆえの闇」という宇宙を旅したわけです。この映画で描かれるワームホールは、山崎街道とはすこし違いますが。
この映画を観て、もうひとつ思い出したのが、カール・セーガン原作の映画『コンタクト』です。リケジョが大好きな父親に再会するため研究して、偉大な仕事を成し遂げるというストーリーは、『インターステラー』とほぼ同じです。コンタクトでは異性人と思われる知的な存在が、時空を超えて亡き父の姿で現れるという切なくも感動的な場面がありました。『インターステラー』の娘マーフィーも、時空を超えて(山崎街道をとぼとぼ)帰ってきた堅親父のクーパーと再会します。
あと、もうひとつ思い出したのは、マイケル・クライトン原作の映画『タイムライン』です。『タイムライン』は量子物理学の理論をもとにして時空移動をするという、よくわからないストーリーですが、ご都合主義的な空想話ではなく、科学的考証がなされた作品でした。小説もおもしろかったです。で、『インターステラー』も理論物理学者キップ・ソーン博士(Kip Thorne)が科学考証を担当したそうです。
でも「スタートレック」的宇宙に馴染んできた者としては、ワープ航法もなければ、地球外知的生命体もない映画というのは、かなりさみしいです。ワームホールを越えたら、緑のボーグキューブが現れて、乗組員のほとんどが真っ青になるのに、バルカンやアンドロイドだけが無駄に冷静・・・というのがスタトレ的宇宙なんですけどね。
| 固定リンク
「cinema」カテゴリの記事
- 2020年に観た映画とドラマ(備忘録)(2020.12.29)
- 議論を誘発する『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(2020.08.20)
- 3・19 那覇で新刊トークイベント(2020.02.21)
- 「華氏119」が描く大手メディアの欠陥(2018.11.03)
- 映画『否定と肯定』にみる大衆のメディア(2018.03.12)
コメント