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2014年12月22日 (月)

『地域ジャーナリズム』 よろしくお願いします

Communitarian_journalism
『地域ジャーナリズム:コミュニティとメディアを結びなおす』(勁草書房)が2014年12月22日に配本されました。調査でお世話になりました上越の皆様や論文審査でお世話になった先生方にあらためて御礼申し上げます。クリスマスにはには大都市圏の大型書店の人文社会コーナーに入るかもしれません。東京・日比谷の日本プレスセンター1階にあるジュンク堂なら品切れになることはないと信じます。ジャンルとしては研究書ですが、極私的ノンフィクションの要素も取り入れました。地域コミュニティにしっかり根を下ろしているメディア関係者には言うまでもなく、主流メディアのジャーナリストや経営者にも参考になることを願っています。

畑仲哲雄(2014)『地域ジャーナリズム:コミュニティとメディアを結びなおす』勁草書房.

前著『新聞再生:コミュニティからの挑戦』(平凡社)は新書で821円(8%税込)と手ごろでした。しかし今回の新作はハードカバーで5184円(同)と少々値が張ります。5000円の価値があるかどうかは、読者のみなさんの判断にお任せするしかありません。研究者だけでなく、できれば実務家のみなさんから批評・批判をいただければ幸いです。

前著が修士論文をもとに書き下ろした作品であったのに対し、今回の『地域ジャーナリズム』は6年かけて書いた博士論文をもとにしています。わずかながらレベルが高くなっていると思います。もう一点。『新聞再生』で検討した鹿児島、滋賀、神奈川の3事例はジャーナリズム上の革新がみられましたが、ビジネス面での困難さを克服することは課題として残りました。しかし、今回の新作で分析した新潟・上越の事例は、経営難に陥っていた新聞社がNPOとの協働を機に経営改善に成功しています。つまりビジネスとしても持続可能な実践例となるということです。

これからのジャーナリズム活動やメディア運営は、もはや内部の力だけで維持継続していくのは難しいかもしれません。自力で自己を救済できないとすれば、助け合い励ましあえる外部の組織や人を探すほかないでしょう。その際、問題になるのは「編集権」概念や、ジャーナリストのヒエラルキー問題ではないかと思います。今回の作品は、そうしたジャーナリズム倫理の面についても、わりと正面から向き合ったつもりです。

最後に付け加えるとすれば、表紙のデザインに英語のタイトルもつけてみました。「地域ジャーナリズム」を英訳すれば、ローカル・ジャーナリズム( Local Journalism )とか、コミュニティ・ジャーナリズム(Community Journalism )となるかもしれません。しかし、わたしは政治哲学のひとつの潮流であるコミュニタリアニズムを強く意識して、「コミュニタリアン・ジャーナリズム(Communitarian Journalism )」の文字を当てました。哲学的な理論も、上越の事例を分析するうえで必要だったからです。

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