新聞のパートナー(3)
NPOと協働するという「上越モデル」は、すでに和歌山に飛び火しています。和歌山新報社の一部紙面は、わかやまNPOセンターが定期的に制作しています。「わかつく」と題した紙面はネットでも全面公開されていて、事務局長の志場久起さんはfacebookなどで広報しています。上越モデルは、地域紙はもちろん、他の活字メディアでも実現可能です。「記者を一人前に育てるのに膨大な時間と労力が必要」というような固定観念を捨てて取り組んでみてはいかがでしょう。
わかやま新報 http://www.wakayamashimpo.co.jp/
わかやまを創る新聞「わかつく」 http://www.wnc.jp/wakatsuku/
足立智和「時すでに遅し、か」2007年07月19日、丹波新聞
「「小児科守る会」冊子手作りし配布へ」2008年02月08日、丹波新聞
「第1回地域再生大賞」の表彰について :47NEWS
新潟県十日町地域振興局健康福祉部「妻有地域かわらばん」平成24年10月24日
このほか『地域ジャーナリズム』では、丹波新聞記者の例も簡単に紹介しました。
「この町から小児科医がいなくなるかもしれない」。そんな危機的状況を救ったのは子をもつ母親たちだった--
そんな“美談”に飛びついたのは、当時の厚生労働大臣だった舛添要一です。舛添は丹波を訪れて母親グループ(県立柏原病院の小児科を守る会)を「これこそが地域医療の崩壊を食い止める」と褒めちぎり、テレビ東京もドラマを1話作りました。民主党政権時の首相・野田佳彦も丹波の母親たちと懇談しました。遅ればせながら共同通信社と46地方新聞社の合同企画「地域再生大賞」で母親グループに「準大賞」を授与しました。
しかし、丹波の医療崩壊に早くから警鐘を鳴らしていたのは、厚労省でもテレ東でも共同通信でも神戸新聞社でもない、地元の丹波新聞記者の中堅記者・足立智和でした。いくら記事を書いても地元で議論が起こらないことに業を煮やした足立は、ついに、母親たちを集めて座談会を開きました。座談会は新聞社が企画したものではありません。すべては足立の思いつきです。安月給からポケットマネーをはたき、母親たちにコーヒーとケーキをふるまいました。母親グループはその翌日結成されました。(続)
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