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2017年1月31日 (火)

取材先からゲラのチェックを求められたら 連載「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」第12回

取材に協力してくれた人から「原稿の内容を確認させてください」と求められた経験があるジャーナリストは少なくないでしょう。新聞社やテレビ局などの組織ジャーナリストたちは、社内でガイドラインが作られたりしていることが多く、あまり悩まない人が多いかもしれません。他方、フリーのジャーナリストや雑誌編集部、テレビ局でも報道以外の部門では、考え方が異なっていると思います。

組織ジャーナリストは「求められても見せない」と突っ張り気味ですが、それは一種の思考停止。一度は取材協力者や取材対象の側に立って悩んでみてはどうでしょう。

〈CASE 12〉取材先からゲラのチェックを求められたら keisobiblio.com/2017/01/31/hatanaka12/

古い話ですが、共同通信で経済記者をしていたとき、シティなんとか銀行の広報からゲラを見せるよう求められたことがありました。「どのメディアも原稿チェックに応じています」と言われ、たしかボツにした記憶があります。取材に応じるも応じないも、こちらの自由だし、時間を割いて応対してあげているのだから……なんだか上から目線の対応をされた記憶だけが残っています。

他方、日経トレンディの取材記者をしていたとき、たまたま警視庁を取材したことがあります。警視庁広報は何も言わなかったけれど、警視庁クラブの日経記者に「取材しに来たよ」と一声かけに言ったら、「ぜったいに事前に原稿を読ませろ」的なことを言われ、「記者がそんなことしたらアカンわな」と怒ったこともありましたが、記者クラブのなかで麻痺していたのでしょう。

ただ、正確な記事を書くためには、事前に目を通してもらうことが必要な場合もあるので、この問題は結構悩ましいと思います。学者や専門的な職業についている人たちからすれば、取材記者など「素人」ですし、ちょっとくらい知識があったとしても、「えーっ、こんなことも知らなかったのか」とか、「やっぱり半可通だわ」などと言いたくなる瞬間があるでしょう。なので、ジャーナリストの側からチェックを求めることもありだと思います。

記事のなかでも触れましたが、読売新聞社が法曹資格や医師免許をもつ記者を募集していましたが、どうなっているのでしょう。専門的な知識があったとしても、表現力がともなわなければ意味がありませんが……

バックナンバー

〈CASE 11〉 メディアスクラムという名の人災(2017.01.13)
〈CASE 10〉 取材謝礼のグレーゾーン(2016.12.13)
〈CASE 09〉 小切手ジャーナリズムとニュースの値段(2016.10.25)
〈CASE 08〉 原発事故、メディア経営者の覚悟と責任(2016.10.25)

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