被害者の実名・匿名の判断は誰がする? 連載「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」第13回
事故事件の被害者を実名で報じるか、匿名にするかの判断は悩ましいものです。
マスメディアで主流の考え方は、国民の知る権利に応えるため原則的に実名報道すべし――5W1Hの “Who(だれ)”という情報は記録性や検証性に加えて権力監視のためにも必要だ――という立場です。
ただ、被害者のなかには「名前を出したくない」という人もいます。名前が広く知られれば、支援しようという人が現れるかも知れませんが、逆に、被害者や犠牲者を食いものにしたり、心ない中傷をしたりする人が現れるのではないか。そんな危険性を排除できません。
〈CASE 13〉被害者の実名・匿名の判断は誰がする? keisobiblio.com/2017/02/21/hatanaka13/
その一方、プライバシー意識が高まるなかで、個人情報保護法と犯罪被害者等基本法が施行され、「個人情報過敏症」というべき風潮が一般化し、社会の匿名化(匿名社会)という現象が世を覆うようになりました。顔や名前を晒すなんてとんでもない、という人が増えています。
被害者を実名で報道するか、匿名で報道するか。その判断は政府や警察が決めてよいのでしょうか。それとも従来どおりジャーナリストが判断すべきでしょうか。それとも、被害者自身に委ねるのがよいのでしょうか。
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