龍谷大学の公開講座もジャーナリズム活動
龍谷大学では、社会人向けの公開講座を開講していて、この秋、私も微力ながら講師を務めました。講座タイトルは「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」です。勁草書房編集部ウェブサイト・けいそうビブリオフィルで連載させてもらったのと同じタイトルと同じで、私が取り組んでいる研究内容そのものです。
社会人向け講座の受講者の多くが60歳以上です。私からすれば人生の先輩といえる方々で、ふだんは20歳前後の学生を相手にしている感覚とは異なり、目から鱗の連続でした。5回の講義をやり終えたいま、引き受けて良かったと思っています。受講してくださった方々と事務方のみなさんには感謝の気持ちを伝えたいです。
龍谷大学の公開講座は「RECコミュニティカレッジ」です。もうすこし詳しく書いておくと、「REC」というのは、(Ryukoku)龍谷(Extension)エクステンション(Center)センターの略です。この「エクステンションセンター」というのが、社会人向けの公開講座を提供する大学の付属機関の名称です。ややこしいですね。
一般には「カルチャーセンターみたいなもの」と受け止められていると思いますが、龍谷大学は「社会に開かれた大学」を志向していて、コミュニティカレッジは私たち教員の研究や教育の成果を、社会に還元することを目的に開講しています。
この公開講座「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」は当初、カルチャーセンターや新聞社の記者研修でやりたいと思っていました。新聞社系のカルチャーセンターに相談したところ、「その内容では受講者が集まらない」と判断されました。また、ある新聞社の記者研修を担当している責任者に話を持ちかけたところ、「間に合ってます」という印象の対応でした。メディア企業としては積極的に触りたくないテーマなのかもしれません。
わたしが龍谷大学の公開講座で20人近い社会人の受講者と白熱討議した内容は、過去に取材記者たちが実際に直面した事例ばかりです。そのラインナップはけいそうビブリオフィルでの連載を見ていただければ一目瞭然です。そもそもジャーナリズムとは「言論・表現を元手にした意識と思想の活動」(林香里 2016: 121)です。コミュニティカレッジのような小さな教室での議論もジャーナリズムの営みです。
私は、マスメディアの記者研修も、たまには社外で、読者や市民と同じ地平に立って、研究者も交えて討議できないかなあと思っています。というわけで、私はしばらくの間、ジャーナリズムの倫理問題の討論会を、いろんな方に奨めてみたいと思っています。
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