卒論審査の新方針(剽窃は一発アウト)
「卒論が完成したので添削をしてください」と頼まれるたびに朱をいれて返してきましたが、同じ学生から3度4度と要求されると、教員の身が持ちません。ゼミ生15人の論文を平均3回添削するということは、45回も目を通してチェックしていくことになります。1人あたり1万2000~1万5000文字の分量なので、眼が死にます。(おまけに、大学院生の修士論文もあり、これが1人あたり3万~5万文字が当たり前ですからね)
朱を入れて返しても「言われた通りに修正したので確認を」というメールがやってきて、十分に直っていないところに再び朱を入れると、またまた「言われた通りに修正したので確認して」とメールがやってくる。表記のルールは「社会学評論スタイルガイド」を見てとお願いしても、きちんとできていないので、また朱を入れると、「こんどこそ、これでいいかどうか確認して」と添削のようなことを求められる……。完全な負のスパイラル。まるで「校正アプリ」にさせられたような気持ちになり、体も心も傷つきます。
そこで、私は次年度から文章の添削をしないことに決めました。研究の方法や深め方についての相談にはナンボでも乗るけれど、日本語表現の添削は原則やらない。
来年度の学部生は、10月中にラフ原稿の提出、11月中に修正指示し、12月に提出。内容が未熟であっても、文章が稚拙であっても、論理展開に問題があっても、それが学生たちの到達点。だめな論文もひとつの個性。一定のレベルに達しなかった提出物には不可をつけます。
注の付け方や、引用の作法が分かっていない論文はどしどし減点します。とりわけ注意したいのはコピペ。他人の文章を自分が書いたように見せかける剽窃(盗用)は一発アウトにします。平然とコピペする学生には、後ろめたさも罪の意識もないように見えます。万引きのように、クセになる可能性があるので、早い段階で厳しく指導しておかないといけません。
『社会学評論スタイルガイド』 3 引用
うちやまかずや「論文指導(論文の書き方)」引用の方法
引用とパクリの境界線はどこ?「引用ルール」を正しく理解しよう|ferret [フェレット]
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