後輩の女性記者が取材先でセクハラ被害に遭ったら 連載「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」第20回
テレビ朝日の記者が財務次官からセクハラ行為に悩んでいた事例は、メディア関係者に波紋を広げています。オレがセクハラの加害者になるはずがない、と自信満々の人もいると思いますが、そんな人も「傍観者」と指摘される可能性があります。同僚や後輩がセクハラ被害者に遭ったことを知ったときのことをシミュレーションして考えたことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。
ハラスメントについての内規や相談窓口を完備しているメディア企業もあります。「わが社は専門家がいるので安心だ」という人もいるでしょう。でも、制度を作れば万事OKでしょうか。ルールブックは作る人や作られ方によっては妙なバイアスがかかるものですし、たえざる見直しが必要です。
〈CASE 20〉後輩の女性記者が取材先でセクハラ被害に遭ったら http://keisobiblio.com/2018/05/08/hatanaka20/
面罵、嘲笑、暴行、脅迫、恫喝…… 取材先でしんどい思いをした記者は掃いて捨てるほどいます。「そんなの承知のうえだ」とリスクを甘受する記者がいる一方、被害を自分の弱さに起因すると自分を責める人もいます。セクハラ被害はその典型だったのではないでしょうか。
わたしが毎日新聞に入社したのが1985年。当時、女性記者の比率は低く、わたしも「昭和のオトコ記者」として育てられました。同世代の女性記者たちの苦悩を十分に理解していたとは言えず、いまごろ偉そうなことは言えない身です。なので、今回の記事は難しい1本でした。たくさんの人と一緒に議論したいテーマです。
追記 ジャーナリズムの道徳的ジレンマは一冊の本になることが決定しました。本屋さんに並んだら、ぜひ手に取ってださい。
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