捜査幹部から賭けマージャンの誘いを受けたら 連載「ジャーナリズムの道徳的ジレンマ」第23回
この問題は、朝日新聞社と産経新聞社の対応は市民の信頼を裏切るものでした。ネットでは「記者も実名さらせ」「クビにしろ」などの書き込みも散見されました。しかし、競合する新聞社や放送局も朝日や産経の対応を淡々と伝えるだけですし、おなじみの識者たちも歯切れが悪い印象です。
産経や朝日の記者たちの「食い込み」ぶりについて、池上彰氏は朝日新聞の連載コラムで「感服」したと書きましたが、同じ思いを抱いた記者も多かったのではないでしょうか。わたしも正直「すごいなー」と思いましたから。
〈case 23〉捜査幹部から賭けマージャンの誘いを受けたら https://keisobiblio.com/2020/06/11/hatanaka23/
もちろん、どの社にも危ない橋を渡ってでもネタを取ってくるスゴイ記者がいて、同僚から尊敬され上司から頼りにされているはずです。なので、今回の件で処分された朝日と産経の記者たちには、自社だけでなく他社からも同情されたのではないでしょうか。
でもそこで「あいつらは不運だった」「現場から外すのはもったいない」といった感想だけで、なんとなく忘れ去っていくのは良くないと思います。ひとつの教訓として後の報道界に申し送りすることもジャーナリストの仕事ですから。
その際、記者たちのマニュアルに「賭けマージャンを禁じる」という1行を追記すれば、一件落着――そんなふうに考える管理職はいないでしょう。かといって「危ない橋を渡るときは自己責任でやってくれ」というのも無責任です(今回の処分は結果的にそういうことです)。
やはり、考えるべき要素を腑分けし、問題をモデル化したりして、議論をしていくしかないと思います。
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