「市民社会」がかつて含意したもの(備忘録)
わたしたちが少しのためらいもなく使う「市民社会」という言葉は、かつての日本では軽々に使われることはなかった。理由はマルクス主義の影響である。戦後の思想界をリードした丸山眞男や大塚久雄が活躍した時代、「市民社会」という言葉は civil societyではなく、 bürgerliche Gesellschaft (ブルジョアのゲゼルシャフト)の翻訳として受け止められるのが一般的で、この言葉を肯定的に使用することは資本主義を容認し、教条的なマルクス主義者からの批判を招くものであった。こうした日本の「市民社会」をめぐる議論について整理してくれている論文と出会った。
渡辺雅男(2009)「日本における市民社会論の系譜」『一橋社会科学』通号6,pp.49-72.
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